[第13回] 地球の鼓動・野草便り 自然の虫には自然の草木で対策


自然の虫には自然の草木で対策


畑や田んぼで毎年のようにブヨ(ブユ・ブト)にさされ、顔が腫れていたのですが、ある年、フキの汁をすり込んでみたところ、かゆみもおさまり、腫れなかったのです。
ドクダミやスイバもかゆみは抑えることができたのですが、腫れは抑えられずにいました。

フキとフキノトウ

フキとフキノトウ



ブヨの毒はハチと同じ異種タンパクだそうで、ひどいはずです。(牛乳も異種タンパク・・・!)

フキの解毒作用は顕著で、産まれてすぐの赤ちゃんにフキの根をすりおろし、お湯を入れて絞った汁を飲ませると、お母さんの初乳と同じように胎毒を下すといわれています。私も飲まされたそうで、産まれてすぐなのににがそーな顔をしたとか。

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第2回で紹介したヨモギのオイル漬け・アルコール漬けにフキを入れると、虫刺されにも使えます。
  1. ドクダミ
  2. ヤナギタデ(本タデ・・・とても辛い)
  3. アイなどのタデ科
  4. アロエ
  5. キランソウ
  6. ノビル
  7. サンショウ
  8. ミヤマイラクサ
  9. ホーリーバジル(トゥルシー)
  10. ミント
  11. オレガノなど

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草原に入り、ダニにかまれかゆくて仕方ない時に助かりました。蜂や蚊に刺された時も使っています。

ちなみに一時騒がれたマダニが犬にいて、このアルコール漬けとオイル漬けを一緒につけると、コロッと剥がれて効いたこともあります。

知り合いの子供さんの耳にマダニがついた時は、アルコールをつけても効かなかったそうです。
かかりつけの小児科に行って取ってもらったそうですが、小児科の先生曰く、「ひっぱってちぎれて頭や口が皮膚に残っても心配はいらない。命に関わるのは、かまれた時にすでにどうしようもなく、ほとんどない」と話してくださったそうです。

とはいえ、虫に刺されるのはいやだ〜ということで、虫除けスプレーを作っています。
野草をアルコール(25度)に漬け込みます。
メインは楠(クスノキ)の葉と枝で、良い香りのスプレーが出来ます。

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< 虫除けスプレーにオススメ >
  1. クスノキ
  2. サンショウ
  3. ゼラニュウム
  4. ヒノキ
  5. クローブ

アルコールがダメな場合は蒸留、又はしばらく水に漬け込んで軽く煮出してみてください。あまり湯気をたてると、成分がにげます。

日向に出しておいて、太陽の熱で抽出するのも良いかも。(夏の野草茶はこうしています。わりとよく出ますが、冷蔵保存が必要で、あまり持ちません。発酵臭くなります。)
ちなみに植物の成分には、水だけでは抽出できないもの、油だけでは抽出できないものがあり、アルコールは両方とも抽出できるそうです。

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また、クスノキは樟脳の原料で蒸留して抽出するそうですが、昔からクスノキの枝をそのままタンスに入れて虫除けにしています。人間にとっては女性ホルモンの活性化などいい香りが癒しになるのですが、虫は嫌がるようですね。以前このクスノキを押し入れに使う健康住宅がありました。九州でクスノキを製材する会社があったのですが、木があばれて製材しにくく、中止されてしまいました。

わたしは、クスノキの10センチ厚くらいに縦にスライスした板を買ってきて、テーブルにしています。 yasou03_12
以前、アパートの密閉されたそのテーブルのある部屋に入ると、爽やかな香りが充満していて何年も楽しめました。そういえば、ダニや蚊よけになっていたような気がします。

クスノキの葉

クスノキの葉


クスノキは広島市の街路樹や公園などにたくさん植えられています。毎年剪定があり、運良く通りかかって、何度か枝を貰って帰りました。台風の後の公園に落ちていたこともあります。身近にこんなに優れた植物があっても、利用しないでもったいないなぁ〜!と思ってしまいます。

新庄神社の夫婦クスノキ(広島市西区)

新庄神社の夫婦クスノキ(広島市西区)


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また、どうしてもという時には毒草が虫の発生を抑えます。 昔はトイレの中に毒草を入れて、ハエの発生を防いでいたそうです。田の畦にも煮出してまいていたとか。毒草といっても毒草扱いされていないコアカソ(イラクサ科)や多少毒が強い馬酔木(アセビ)などです。

馬酔木(アセビ)

アセビ


わたしは雨水の溜まる桶に、剪定したアセビを生けていたことがあります。確かにボウフラがわきませんでした。

余談ですが、我が家の昔風のトイレ(ポットントイレ)には糠(ヌカ)やカンナ屑など木の粉を入れています。発酵するので、匂いがほとんどしません。よく発酵すれば、ハエの発生も抑えられます。


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教えて!ニャンコ先生!
自然豊かな大地を毎日かけまわっているミヨ(ニャンコ・2才)がお答えします!


質問者
虫除けスプレーにオススメってある、クスノキ、サンショウ、ゼラニュウム、ヒノキ、クローブ。
いい香りのものばかりで、虫除けだけじゃ もったいないくらいだね。

ニャンコ先生
ここで使っている植物は毒のあるものではないから、クスノキ以外は飲用にできるにゃー!
ヒノキは歯痛などのうがいに使うくらいだけどにゃ。

クスノキは胃を刺激する成分があるから飲めにゃい。
でも、他のクスノキ科のニッケイやクロモジなどはいい香りで飲めるのにゃ。
質問者
へぇ〜、そうなんだね!
それから、紹介された虫除けをペットに使っても大丈夫かな?

ニャンコ先生
にゃんにゃん母さんは、毛の短い大型犬の散歩の時に、お腹を蚊によく刺されるので、使っていたにゃ。
我々ニャンコにとっては、ゼラニウムなどのハーブに良くないものがあるから、使わない方がよいにゃ。

ペットも使う虫除けを作るときは、動物と野草の相性を事前に調べてにゃん。

■ 参考文献
イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社

ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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