ユダヤ問題のポイント(日本 大正編) ― 第4話 ― 薔薇十字再び

 改めてですが、本文冒頭の絵図を施したような一連の薔薇十字文書が、17世紀初頭に薔薇十字団から出されました。そして実際にこの絵図のように、薔薇の蜜は多くの有象無象を引き寄せました。
 外伝21で見たように、薔薇十字が「多くのオカルティスト、錬金術師、学者、文人、貴族等」を参入させ、これが近代フリーメイソン結成の元になってもいます。
 薔薇十字とはキリストを生みだす技法ともいえるのですが、欧州の秘密結社などが薔薇十字をシンボルとして掲げて、NWOに向けた運動を進めていったのです。薔薇十字の同意味の変形の一つが赤十字であり、こういった紋章を持つ組織は非常に多くはあるのですが、実はこういった紋章を掲げる組織は、少なくともハルマゲドン計画の一端を担っていたと見なしても良いでしょう。
 大正時代に設立された世界紅卍字会とナチス、そのそれぞれの紋章は「紅卍」と「ハーケンクロイツ」です。このそれぞれの紋章の正体は私達にとっては既に明らかです。どちらも要は薔薇十字です。そして、世界紅卍字会とナチスがその紋章を持った元には大本教があります。
 大本教は「ミロクの世が来る」ことを説いています。そのミロクですが、出口王仁三郎の口術で記された『霊界物語〈第19章〉』に、「世を救う弥勒の神の標章(みしるし)は ○に十字の神定めなる」とあるようです。つまり、王仁三郎はミロクは○十字であるとしたのです。
 ○十字もまた薔薇十字ですが、注目は「世を救う」のはミロクとしている点です。○十字も考慮し別の言い方をすると、ミロクがキリストであると表明したことになるでしょう。
 大本教の根幹となるであろうミロクとはマイトレーヤです。ハルマゲドン計画とは救世主マイトレーヤの降臨計画でもありました。大本教が何を目的にしていた組織か?はここから明らかでしょう。
 また結論のみ記しますが、世界紅卍字会の会長に堀川辰吉郎が就任したのですが、これは辰吉郎が世界王の候補者だとの宣言だったでしょう。
(seiryuu)
————————————————————————
ユダヤ問題のポイント(日本 大正編) ― 第4話 ― 薔薇十字再び


Wikimedia Commons [Public Domain]
薔薇が象徴的に描かれた薔薇十字文書『至高善』の絵。上の文字は「薔薇は蜜を蜂に与える」と訳すことができる。

卍の紋章はどこから? 〜大本教=世界紅卍字会?


1920年頃(大正8年)の同時期に、卍をその印とする地上世界に大きな影響を与える組織が2つ、東洋と西洋に設立されます。1922年に中国で設立された世界紅卍字会と、1920年にドイツで設立されたナチスです。

世界紅卍字会の紋章
Flags of the World
[Public Domain]
ハーケンクロイツ
Wikimedia Commons
[Public Domain]

世界紅卍字会とナチス、この2つの組織それぞれの設立に深く関与したのが上田サンカ、つまり緑龍会です。

2018/05/21の竹下さんの引用記事の中には、

  • 緑龍会とは、日本皇室始祖鳥の一派である。
  • その下に大本教=紅卍会がある。
  • ハーゲンクロイツ鍵十字は紅卍会から来ている。

  • という部分があります。この記事の内容によると次のようになります。

    大本教=世界紅卍字会、両者は共に緑龍会に所属していた。
    ナチスのハーケンクロイツは紅卍会の紅卍から来ている。

    ①については、前回見た落合氏の「大本教が大正時代には中華民国に実質支部の紅卍会を創設」、そしてウィキペディアの「堀川辰吉郎」記事の中にある辰吉郎が「奉天の世界紅卍字会の会長に(就任)」という部分にピタリと符合します。

    しかしこの記事での内容は、一般的に認識させられている事実とは相当の相違があります。一般的認識とは?

    ウィキペディアの「世界紅卍字会」記事には、世界紅卍字会は1922年に道教系の宗教団体「道院」に付随する修養慈善団体として設立、その「道院」は1916〜17年に下ろされた神託がその起源だとあります。そして公的には世界紅卍字会が大本教と提携するのは1923年(大正12年)以降からです。

    一般的認識のこの通りならば、先ず“②ナチスのハーケンクロイツは紅卍字会の紅卍から来ている。”とは齟齬が生じます。設立はナチスが1920年、紅卍会は1922年とナチスのほうが早いので、ナチスのハーケンクロイツが紅卍から来ているというのは成立しません。

    そして大本教の世界紅卍字会と提携については大本教信徒連合会のHPの「あらゆる障壁を超越して」との題の中で次のようにあります。

    大正12年(1923年)の秋、関東大震災の救済活動のため、中国から道院(どういん)・紅卍字会(こうまんじかい)の人たちが(中略)...フーチ(複数人で行なう一種の自動書記)による神示で、日本に道院と合同すべき宗教団体があると教えられ、綾部を訪れました。ここに大本と道院は相提携することになったのです。王仁三郎もフーチにより「尋仁」(じんじん)という道院名をもらっています。

    これが一般的認識となるはずですが、こうであると世界紅卍字会と大本教はそれぞれ別々の独立組織であったが、世界紅卍字会のフーチで大本教が提携先に選ばれ、また王仁三郎も世界紅卍字会から道院名をもらっているとなっています。

    この説明では明らかに大本教と世界紅卍字会の関係は、世界紅卍字会が“主”で大本教が“従”の関係となりそうです。

    しかしそうであれば、堀川辰吉郎が「奉天の世界紅卍字会の会長に」推されて就任したことの説明がつきません。世界紅卍字会の設立と大本教との関係はウィキペディア記事のような一般的に認識させられているようなものと実態は相当異なるでしょう。

    そしてこの問題を解くキーが○十字なのです。

    いろいろな○十字の紋章

    大本教の○十字が示すもの 〜性錬金術と王家の血流


    面白いことに大本教信徒連合会のHPの表題の右側には○十字のマークがあります。大本教は○十字をその印としているようで、これがキーになっています。

    結論的には落合氏が言うように「大本教が大正時代には中華民国に実質支部の紅卍会を創設」、これが実際の事実だったでしょう。

    つまり、緑龍会がアジアでの活動を本格化するために、緑龍会(大本教)の人間やその関係者たちが中国国内に潜入して、大本教の実質支部としての世界紅卍字会を設立していき、その設立の上で改めて世界紅卍字会と大本教が提携したような形をとって見せたということです。

    緑龍会(大本教)が世界紅卍字会を設立したならば、“緑龍会(大本教)=世界紅卍字会”、“堀川辰吉郎が奉天の界紅卍字会の会長に就任”、“ナチスのハーケンクロイツは紅卍会の紅卍から来ている”これらが全て整合します。大本教の印の○十字から世界紅卍字会の紅卍、そしてナチスのハーケンクロイツの紋章となったのが事実でしょう。

    Flags of the World [Public Domain]
    Wikimedia Commons [Public Domain]

    緑龍会(大本教)が世界紅卍字会の設立に当たっては、その紋章には○十字を変形させた紅卍を採用することを決めていたのでしょう。そしてその同時期に並行して設立に向かっていたナチスも、○十字そして紅卍からハーケンクロイツの紋章が採用されたのでしょう。

    卍は十字の変形文字です。ナチスのハーケンクロイツをよくみて下さい。紅卍であり、○十字でもあることが分かるでしょう。

    ○十字、六芒星、赤十字、紅卍、ハーケンクロイツ、これらは全て同じもので薔薇十字です。薔薇十字の意味は外伝2324あたりで見た通りです。

    神智学協会の紋章
    Wikimedia Commons
    [Public Domain]
    島津氏の家紋「丸に十字
    Author:Mukai [CC BY-SA]
    黄金薔薇十字の紋章(1756年)
    Author:Raziel777red [CC BY-SA]
    編集者註:グノーシス ≒ ミトラ教 ≒ カバラ ≒ 神智学これら神秘思想の中核にあるのが「性錬金術」神智学協会の紋章の六芒星の中心にある古代エジプトのアンク)も女性器と男性器の接合を象徴します。

    薔薇は女性器を、十字は男性器を意味します。薔薇十字は女性器と男性器の結合、「聖婚儀礼」「性錬金術」を表します。カバラの中核です。そして、女性器の薔薇の代用になるのが○印であり、赤色でした。

    秘密文書カバラ文書を発掘したのはテンプル騎士団でした。このカバラの中核の性錬金術の男性マスターが洗礼者ヨハネであり、その女性パートナーのマスターがマグダラのマリアです。両者は共にダヴィデ王の血流、つまり「王家の血流」を引いていました。

    世界統一政府の樹立へ向けて、世界で様々な秘密結社が動いていました。その世界統一政府の世界王となるのは「王家の血流」を引く者、ということで様々な秘密結社が薔薇十字(赤十字)を掲げて動いていたのです。

    同様に、緑龍会も大本教・世界紅卍字会をもって、世界に対して要は薔薇十字を掲げたわけです。そして薔薇十字を紋章とする世界紅卍字会の会長に堀川辰吉郎が就任しているのです。



    世界戦略で暗躍していた上田サンカ 〜八咫烏が一目置かれる理由


    緑龍会のもとになったアヤタチ上田サンカのアヤタチとは、サンカの親分をさすものです。更に落合氏によると、「アヤタチ(怪立)とはアマベらが錬金術を修業する時の名前」を指すともしていました。落合氏はこの錬金術を別のところでは「イスラエル由来の錬金術」とも記しています。

    となれば、上田サンカの錬金術とは当然ながら性錬金術がその核となります。もとより上田サンカは、テンプル騎士団のカバラ文書発掘以前からカバラを、性錬金術を代々習得していたわけです。

    となると、上田サンカはテンプル騎士団や他の秘密結社からも一目も二目も置かれる存在であったはずです。そういう理由で江戸期においても、上田サンカが八咫烏の世界戦略、対外国工作を忍者として密かに担当してきたと見受けられます。

    上田サンカは落合氏によれば、「商売も毛唐好み」「オランダとの混血」であり、継続してオランダ、つまりオランダ東インド会社と取引していたとされます。そして何よりもサンカの親分である上田サンカが日本からの大量の黄金流出と、それによる世界革命に大きく関与していたであろうことはこれまで見てきた通りです。

    こうやって対外国戦略を密かに担当していた上田サンカが、緑龍会として改めて大本教をして、○十字を、薔薇十字を掲げたわけですが、他にも家紋として○十字を掲げていた家系があります。薩摩の島津氏です。

    五龍会の中でやはり緑龍会と並び対外国戦略を担当し、「大アジア主義」を掲げて大陸に進出していったのが玄洋社=白龍会でした。その白龍会の総裁の杉山茂丸はどうも島津氏の血流のようでした。

    落合氏の説に基づく杉山茂丸の系図

    落合氏の説では、蘭癖大名で有名だった薩摩藩主・島津重豪とその息子でやはり蘭癖の黒田藩主・黒田長溥、この黒田長溥の息子が杉山茂丸ということで、これは事実と見受けられることは明治編 第33話で見たとおりです。

    世界戦略、ハルマゲドン計画を進捗していくそのシンボルは、やはり薔薇十字だったのです。


    Writer

    seiryuu様プロフィール

    seiryuu

    ・兵庫県出身在住
    ・いちおう浄土真宗の住職
    ・体癖はたぶん7-2。(自分の体癖判定が最も難しかった。)
    ・基本、暇人。(したくないことはしない。)
    ・特徴、酒飲み。アルコールには強い。
    ・歯が32本全て生えそろっている(親不知全て)原始人並み。

    これまでのseiryuu氏の寄稿記事はこちら


    Comments are closed.