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「令和の百姓一揆」予想を超える参加者と沿道の熱い声援 / 食と農の危機を打開するのは「怒り」ではなく「希望」への共感、各地の農を守る共感の輪を広げよう

 3月30日、全国14カ所で「令和の百姓一揆」デモ行進が行われました。東京都内の集会とデモ行進の様子は、高橋清隆氏が記事にされています。「国の農業政策の転換を訴える集会」の後、法螺貝の響きと共に30台のトラクターや軽トラが出発しました。そしてその後をデモ参加者の人々が「農家に補償を、欧米並みの所得の補償を」「国産残そう、限界超えてる農家を守ろう」と訴えながら、様々なプラカードを手に次々と出発しました。主催者は1500人の参加を想定していたそうですが、4500人もの参加があったそうです。山田正彦氏によると「(トラクターは)もっと参加希望者がいたが、警察から30台までにしてくれと言われた」のだそうです。沿道の声援も暖かく「思想的左右・官民の立場を超えて」農業への思い、日本の食への思い、ひいては日本の自然や伝統への思いを託したデモになりました。
 報道ではニューヨークタイムズが大きく報道し、日本は朝日、産経、日経、東京、共同通信が報じたそうです。国民から受信料を取るNHKはスルーだったらしい。
 東京以外にも、大分、福岡、熊本、静岡、滋賀、岐阜、奈良、大牟田、山口、富山、沖縄からの熱い報告が届いています。
 我那覇真子氏がスタートからずっとライブ配信をされていましたが、デモの後に行われた「次に向けた寄り合い」も伝えて下さいました。その中で「令和の百姓一揆」実行委員会の菅野芳秀代表の言葉が印象的でした。
『対決軸では物事は解決しない、人々の共感を得られず敵を強くするだけだ。共感力が人々の輪を広げる。その共感力は「希望」だ。
食と農という命の危機は未来の危機に繋がっている。それを打開する道は怒りではない、怒りは長く続かない。私たちは何年もかけて食と農の関係を根付かせながら大きくしていかなければならない。食と農の関係から社会を変える、人間関係を変える、農のあり方を変える、その共感を生むのは希望だ。希望を運動の柱にしていく、政策にしていく。喜びこそ共感を広げていく。これからその共感を地域に中で生かしていくことが大事だ。(最後のX投稿 23:00〜)』
 また、一揆に駆けつけておられた鈴木宣弘先生は「日本の農業はあと5年が正念場、今止めなければ日本の農と食と命の危機は一気に加速しかねない」「世界で最も競争にさらされながらも、ここまで踏ん張ってきた日本の農家のみなさん、凄いですよ。本当に精鋭です。この踏ん張りこそが子供達の未来を守る希望の光です。(中略)令和の百姓一揆に参加しまして、大きな希望が見えてきました。子供達に明るい未来を残せるように一緒にがんばりましょう。」と激励されました。
(まのじ)
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令和の百姓一揆【令和7年3月30日 東京】
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日本国内が米不足・米価格高騰の中、石破政権は米の輸出を8倍にし、政府備蓄米の海外支援を実施し、さらに外国産米の輸入を急増させ、意図的に日本の農業を破壊する

 政府は2030年までに米の輸出を35万トン、去年の輸出量の8倍を目指すと発表しました。また、日本政府はこれまで東アジアの食料安全保障を支援するために日本の政府備蓄米の供与を実施していますが(ASEAN+3 緊急米備蓄 APTERR)、石破政権は昨年末にも支援として620トンもの備蓄米を支援していたことが明らかになりました。日本国内では米不足と米価格高騰が大問題になっている状況下での決定です。
 一方で、安価な外国産米の民間輸入が急増しているとも報じられています。コンビニや外食産業で輸入米や、国産米とのブレンド米が広がっているそうです。自動車関税を回避する代わりに日本の農産物の関税を撤廃して外国に差し出したようなものです。
 鈴木宣弘先生が何度も説いておられるように、日本の米不足の根本原因は、日本政府が「農家の赤字は放置し、減反要請を続け、一時金(手切れ金)だけ払うから田んぼは潰せ、と誘導して、コメが作れなくなってきたツケ」であることが分かっています。政府は意図的に農業を潰し、せっかくできた国産米を輸出し、わざわざ外国産米を輸入して国民に食べさせようとしています。呆れるのは「輸出向けの作付けには4万円/10aの補助金が支給される」ことです。「ならば、国内の主食米の生産に4万円/10aの補助金を支給して、国内生産の増加を誘導するのが明確な方向性である。」しかし日本政府はわざと国内生産を減らそうとしている。
 私たちは選挙によって為政者を変えていく"攻め"と同時に、「消費者と生産者が一体的にローカル自給圏」をつくって自分たちの食と命を"防衛"しなければなりません。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国内供給を放置して進む輸入米と輸出米の危うさ
引用元)
(前略)
国内供給支援せず、なぜ今輸出米支援なのか

 一方で、コメ輸出を8倍に増やすという目標が発表された。輸出市場の開拓は追求すべき1つの可能性ではあるが、国内でコメ不足が深刻化しているときに、まず示すべきは、国内供給の安定化政策ではないか

 輸出米を増やせば、いざというときに国内向けに転用できるというが、そんな簡単に輸出契約を解除できるとは思えない。その前に国内供給を確保するのが先だ。

 しかも、輸出向けの作付けには4万円/10aの補助金が支給される。ならば、国内の主食米の生産に4万円/10aの補助金を支給して、国内生産の増加を誘導するのが明確な方向性である

 しかも、輸出振興とセットで必ず出てくるのは、規模拡大してコストダウンして、スマート農業と輸出の増加で未来は明るい、という机上の空論だ。(中略)
(中略)

 地域の疲弊は続くから仕方ないのではなくて、それは無策の結果だ。政策を変更して未来を変えるのが政策の役割だ。集落営農で頑張っている地域もあるし、消費者と生産者が一体的にローカル自給圏をつくろうという「飢えるか、植えるか」運動も筆者のセミナーもきっかけに広がりつつある。まず、地域から自分たちの食と農と命を守る仕組みづくりを強化していこう

今橋伸也氏「科学がなんかひっくり返されることがすごい起きてるらしくて、そっから教授とかは、逆に研究したいっていう人とか現れて、自然農法やる人とか出てきてる」 / なぜ無肥料で野菜ができるのか

竹下雅敏氏からの情報です。
 2月27日の記事で、自然農法家の今橋伸也氏の動画を紹介しました。今回の動画は、今橋伸也氏の思想と実践がよく分かるものを選びました。
 「自然農のリーダー達が手を繋ぎ世界をリードしていく 始まりそうですね 理想の世界が垣間見えた動画でした」というコメントは、本当にその通りだと思いました。
 問題は、今橋伸也氏の言葉を素直に受け止められる人と、「あり得ない!」と否定する人がいることでしょう。『水からの伝言』で江本勝氏は「水に文字を見せる」という実験を行い、“水は、音楽やイメージや言葉や、祈りなどによって、変化する可能性がある”ことを示しました。
 しかし、こちらの記事には、“『水からの伝言』とは1999年に出版された、江本勝氏による水の結晶の写真集。…国内外で急速に広まる一方、科学的根拠がないにも関わらず、まるで科学的に実証されているかのように装った「疑似科学」の典型例として、科学者や各種団体から批判を集めてきた。”とあります。
 このように「自然科学」という名の宗教の狂信者には、『水からの伝言』は受け入れる事のできない「疑似科学」なのです。
 しかし、今橋伸也氏の仕事は『水からの伝言』の延長線上にありながら、否定することのできないものになっています。
 今橋伸也氏は、“イギリスってオックスフォード大学って有名じゃないです か。ケンブリッジ大学、有名で。その次がですね、名門って言われるのがブリストル大学っていうとこらしいんですよ。そのブリストル大学っていうのは、僕の圃場から1時間ぐらいのところにあって、そこの生徒が僕らの圃場の噂を聞いて来られたんですね。13人ぐらい来たんですよ。ファームツアーしていくんですけども、その中で生徒の顔がめちゃめちゃ険しくなっていくんですよ。どんどんどんどん、話せば話すほど。すごい質問されるから、それを答えるんですけど、どんどん険しくなっていって、これなんかまずいこと言ってんのかなと思って、「あの、すいません。僕の英語、通じませんですか?」って聞いたんですよ。そしたらね、「今橋君の言うことは全部分かってる。ただ君の言ってることはね、大学が、教授が言っていることと全く反対のことを全部言う。ただ野菜ができてるから、否定ができない、困る。今度、大学の教授連れてくる」って言って帰られたんですけども、いろんな科学者とかね、年間200人ぐらいの人が来られてですね、科学がなんかひっくり返されることがすごい起きてるらしくて、そっから教授とかは、逆に研究したいっていう人とか現れて、自然農法やる人とか出てきてる…。(21分3秒)”と話しています。
 ものすごく面白い話です。1.5倍速くらいで、全編をご覧ください。二つ目の動画では、なぜ無肥料で野菜ができるのかを説明しています。
(竹下雅敏)
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異国で自然農法20年!今橋さんって何者なの?なぜ日本に帰ってきた?
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【自然栽培3】自然栽培で一番大事な土について、栽培を成功させる秘訣!!土を生かす方法お話しします。作物を健康にし、病気や害虫を跳ね返す!!
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自然農法を22年実践する今橋伸也氏の目を見張る実績と思想 ~自然農法の奥義とも言える「秘密」

竹下雅敏氏からの情報です。
 自然農法家の今橋伸也氏のプロフィールは、こちらのホームページによれば、“3年間自然農法を実践した後、2005年に英国に移住した。ロンドン郊外の小さな土地から始め、エセックス州ハーローに移った。2010年からはイェーツベリーで自然農法を実践している。2014年からは、ヨーロッパの他の国々の農家も、自然農法の哲学に触れるようになりました。今橋氏は現在、アイルランド、スペイン、フランス、ギリシャ、イタリア、ドイツの農家に対してアドバイスを行っています。”ということです。
 自然農法を22年実践していて、その実績と思想には目を見張るものがあります。今橋伸也氏は自然農法の奥義とも言える「秘密」を伝授しています。その「秘密」は分からない人には、どのように伝えても分からない究極の智恵とも言えるものです。氏は、“土は生き物であり、生きている生命体として接している(9分4秒)”と言っています。
 「ジブリの世界」をそのまま自然農を通じて体現していると言っても過言ではない今橋伸也氏の言葉は非常に明るくポジティブです。
 例えば病気についても、“僕は病気さんとかは、別にウェルカムなので、病気になったとしても、それはいい作用が起こしますし、それは浄化作用でね、いいですし、もうそんな病気さんとかに負けないよっていうね、僕のこの土さんと作物さんはねっていう信頼ですかね、その信頼の度合いが多分強いんでしょうね(10分14秒)”と話しています。
 私は若いころに野口晴哉氏の『風邪の効用』など、氏の著作のほぼ全てを読んでいますので、今橋伸也氏の言葉はとても自然だと感じます。
 「土」を生命体として生きていると感じて接している自然農法家と、単なる栄養分を含んだ物質と思っている自然農法家では、その作物の品質や収量にハッキリとした違いが出てくると思うのが私の感覚なのですが、この当たり前の感覚が現代では通じないようになってきているみたいです。
 しかし、今橋伸也氏はこのことを証明して見せてくれたのです。これは「革命」だと思います。人の「意識」は、世界をこのように変えるのだということを、誰もが分かるように示してくれたのです。
 私は、宮崎駿氏が世に問いかけた世界観は、実のところ現実そのものであることを今橋伸也氏が示したのだと感じています。そして、これは日本人の精神性そのものではないでしょうか。
(竹下雅敏)
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【自然栽培319】皆と何が違う?今橋流自然農法考え方。
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「種子法廃止違憲訴訟」東京高裁は「棄却」の判決 〜 “グローバリゼーションの破壊の壁は極めて厚いが、食を守る個々の権利を主張する歩みは止められない”、上告へ

 「種子法廃止違憲訴訟」の判決が2月20日に出ました。東京高裁は、理由を語らず控訴棄却しました。傍聴は溢れるほどの人だったそうですが、判決文の読み上げはあっという間に終わったそうです。
 田井勝弁護士から(10:53)「いかに不当判決だったか」の説明がありました。ミツヒカリ不正問題、昨年来の米の供給不足問題は、政府の言う「日本には優れた民間品種がある+コメの供給不足はない」という種子法廃止の根拠を覆す事態であるにも関わらず、高裁は判断することを逃げています。
 岩月浩二弁護士からは(30:15)「予想はされたがここまで酷い判決とは思わなかった。訴えを退けるためにできるだけ最短距離で書いた本当に不出来な判決。なぜそうするのか、裁判官の出世の問題とか司法官僚制の問題とかあるが、あえて言えば、"少しでも踏み込むと、この種子法廃止の筋が通らなくなる。少しでも原告の主張に反論しようとすると具体的には何も言えない。そもそも種子法廃止を強行した理由がどこにも見出せない"ということではないか。」「改めて(2015年の)TPP交渉差止訴訟から来て感じるのは、グローバリゼーションにともなって国民の行政を破壊していく一連の流れに抵抗していくのは"極めて、壁、厚いな"。ただ世界の情勢は変わってきて"国民のことも大事にしろよ"と必然的になるので、私たちはこの歩みを止めてはいけない。グローバリゼーションに対して個々の権利を主張し、国のあり方を変えていこう。」と前向きに語られました。
 「種子法廃止違憲訴訟」は、2015年の「TPP交渉差止・違憲訴訟」の第3次訴訟として起こされました。山田正彦先生は(45:25)「今日が一番くやしい思いをしました。」と述べ、しかし種子条例という形で実は種子法を守って来た、これまでの10年を思われたのか涙ぐみながら「10年以上無報酬で戦ってこられた弁護団に拍手していただけませんか。」と求めておられました。
 国民の声に向き合わない判決を前に、弁護団はすでに上告の意志を固めておられるようです。最高裁では、国民の食を守る種子法を廃止したことへの憲法判断となります。
今まさに「令和の百姓一揆」も始まり、正念場となりました。私たちは、これまで専門家に任せてきたこの訴訟をガッツリ支えて、種子法を取り戻しましょう。
(まのじ)
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[ライブ中継]結論ありきの不当判決に呆れる!種子法廃止は違憲!「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」判決後の報告・意見交換会 TTBジャーナル
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