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ニューサウスウェールズ大学による太陽光パネルの研究 〜 大規模気象シミュレーションでは「真夏のピーク気温が最大1.4度、地表温度が2.3度も上昇」/ 東京都の太陽光パネル義務化は罰則なし

 Alzhackerさんが紹介されていた太陽光パネルに関する研究です。
2023年のオーストラリア・ニューサウスウェールズ大学による「都市屋上太陽光パネルの局所温暖化ポテンシャルについて」という研究で、「エコの看板を掲げながら都市を1.4度も加熱する太陽光パネル、そして都市住民への健康リスク」というサブタイトルがあります。
 シドニー全域で実施された大規模気象シミュレーションでは、「屋根面積の100%に太陽光パネルを設置した場合、真夏のピーク気温が最大1.4度、地表温度が2.3度も上昇することが判明した」とあります。「現在のパネル発電効率はわずか16-20%で、残り80%以上は無駄な熱として放出される」、ということは、日中70度に達した温度がパネルの両面から無駄に放出されることになります。
さらに太陽光パネル設置は、国土交通省が推奨した「高反射率クール屋根」の温暖化抑制効果を完全に台無しにするそうです。「納税者の税金で推進されたクールルーフ政策を、同じ政府が推進する太陽光パネル政策が台無しにする茶番劇」だと言っています。
 論文では「80%以上のエネルギーを無駄な熱として放出する技術が、そもそも都市環境に適していない」「『脱炭素』という名目に隠された利権構造の犠牲者が都市住民だ」と結論づけています。
 東京都では「新築戸建て住宅に太陽光パネルの設置などを原則義務づける条例が施行」と問題になりましたが、これはハウスメーカーへの義務づけで、しかも罰則はないそうです。施主さんが望まないのであれば、自然災害に弱く、火災消火時に危険で、平時はやたらと熱い太陽光パネルは拒否できます。
(まのじ)
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釧路湿原には600ヶ所の太陽光発電施設があり、今後も駆け込み建設の見込み / 利権と対立する環境保護

 北海道の釧路湿原にメガソーラーの建設が相次いでいるという報道です。釧路湿原は希少な生物の宝庫として有名ですが、2012年に25ヶ所だった太陽光発電施設は、2025年6月には600ヶ所に増えていました。
 釧路市は「自然環境と調和がなされない太陽光発電施設の設置を望まない」というノーモアメガソーラー宣言を出し、9月にはメガソーラー建設を許可制にして規制する条例案を提出するなど環境保護を重視していますが、それでも駆け込みの施設建設を止めることはできないようです。番組で取り上げられていた業者は4.2ヘクタールの土地に6600枚のパネルを設置する工事を予定し、「建設現場にはタンチョウやオジロワシ、キタサンショウウオは生息していない」という専門家の調査結果をお墨付きに工事を始めました。しかしその調査結果は釧路市立博物館が環境保全を確認できるものではなかったようです。
 さらに、仮に建設予定地内には生息の実態が無かったとしても、近隣の生物たちへの影響が無いとは証明できません。「工事による音や視覚的な悪影響は事業敷地だけではなく、工事現場の周囲に及ぶのは常識で、通常は事業地から半径1~2kmの範囲で専門的な調査を行い、その結果に基づいて建設の是非や影響の緩和策を検討するのが常識」という猛禽類医学研究所の指摘に説得力を感じます。人間だってメガソーラーのそばには住みたくありません。
 建設工事段階からすでに希少生物への影響が懸念されていますが、それだけでなく将来的に耐用年数を終えた廃棄パネル問題も浮上しています。パネルの残骸が湿原を埋め尽くす懸念とその処理費用の積み立てが議会で検討されていました。
 釧路湿原は1980年代に「原野商法」と呼ばれる、値上がりの見込みのない土地を高値で売りつける詐欺商法の舞台となりました。原野の所有者たちにとって実際の土地の評価額の10倍もの値段で買い取ってくれるメガソーラー事業者は「本当に嬉しかった」存在だったようです。
 釧路湿原のメガソーラー問題は、利権と自然環境のどちらを優先する世界を選ぶのか、日本人が天に問われているような気がします。
(まのじ)
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ノーモアメガソーラー宣言の釧路市貴重な生物や環境の保護か?再生可能エネルギー推進か?
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釧路湿原周辺の太陽光発電施設問題 市長が『ノーモアメガソーラー宣言』 その効果は?
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[小倉ヒラク氏] 味噌や日本酒、漬物などの発酵食品がいくらお金を積んでも手に入らなくなる食文化の危機、2025年はその分水嶺に

 小倉ヒラクさんという方の長い長い投稿を取り上げました。「発酵デザイナー」という「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」仕事をされていて、「発酵デパートメント」というお店も経営されているそうです。ところが「今年に入ってから、今までのように仕入れられないものが急激に増えて危機感を覚えてます」と、ドキッとする告白から始まります。米農家と同じように「原料がない」「資材や設備がない」「つくる人がいない」という現実が立ちはだかっていました。
 これまで当然のように獲れていた魚たちや海の幸が消え、各地の郷土ずしが作れない。作る人の高齢化で商品が少なくなる。定番だった入れ物もメーカーの廃業やラインの廃止でこれまでのように出来なくなる。これまで地域の産業だった仕組みを軽視して来た結果が、2025年の今、露呈したと語られます。
 まのじの住む地方も海の幸、山の幸に恵まれたところですが、「今年は獲れない」「名人が高齢でもうすぐやめる」「今年は味が悪い」など、ハラハラするような話を幾度となく聞きました。
 小倉さんが来年以降の予想をされていました。「まず味噌などの調味料がめちゃ値上がりします。1.5倍から倍くらいになるかもしれません。しかも国産原料を使う地方のメーカーほど値上げ幅が激しくなります。『こだわりのお味噌』は贅沢品になるかもしれません(たぶんなる)」が〜〜ん。
 米不足の影響を一番強く受けるのが日本酒で、その結果、飲食店での日本酒一杯の値段は2倍程度になり、また日本酒の多様性も失われそうです。蔵元が独自に米作りに取り組むケースは人手不足の問題があります。「お味噌や日本酒、漬け物のような伝統食は海外から調達できません。もし国内で作れなくなったら、いくらお金を積んでも手に入らなくなります。今起こっているのは値上げの問題『ではない』のです。そうではなく自分たちの伝統を失い、選択肢がなくなる危機なのです。」
 「ではどうしたらいいのだろう?」小倉さんは「それぞれの地域のそれぞれの持場で頑張っている醸造家さんや農家さんを応援してほしい」「日本全国に地域のこと、ものづくりのことについて真剣に取り組むお店があります。自分の家に近いそういうお店を見つけて、そこの活動も支えてほしい」と提案されていました。具体的には、少し高価でも「まず良い醤油とお味噌をげっとしよう」と。
 国民が安心して良い食材を求めるには、そして日本の大事な食文化が守られるには、やはり政治を動かすことが一番早いと思う、まのじであった。
(まのじ)
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米不足だけではない、日本の食を支えてきた「出汁文化が静かに確実に追い詰められている」〜 主食の米を守り、和食材の担い手を守る政策を早急に

 いつも使っていた昆布がありました。出汁を取っても煮て食べても美味しい昆布でしたが、最近売られていないので、はて?人気が出て品薄なのかしらと思っていると、生育不良で商品ができていないとのことでした。昔からその地方に当然のようにある昆布の乾物が手に入らないなど考えたことがなかったので、次回目にしたら多めに買っておこうと思ったのでした。
 そんな時に、この動画を観ました。「品薄・高騰確実!日本で買えなくなる!? 消える食品7選」というショッキングなタイトルです。
 最初が「バターと牛乳」でした。これは日本の酪農家さんの苦境を考えると当然の予測と言えます。この10年で酪農家の数は半分以下に減り、その多くの方が高齢で後継がいない状況です。続いて出たのが「昆布、煮干し、鰹節」でした。原因は海の環境悪化のようです。漁獲が減っている上に技術を持った加工業者の方が高齢化して廃業するケースが増えているそうです。「日本の出汁文化が静かに確実に追い詰められている状況」との解説には愕然としました。
「はちみつ」も危機的で、粗悪な輸入品が増えることが予想されていました。シャンティ・フーラのハチミツは大丈夫。
まさかと思ったのは「緑茶、抹茶」で、ここでも茶畑の減少と生産者の高齢化、後継者不足が原因でした。海外の需要の高まりで「良いものは海外へ、日本には残り物みたいな状況」になる可能性も指摘されていました。
当面の備蓄は各家庭のニーズに合わせて検討するとしても、根本的な解決に必要なのは日本政府の政策だと思いました。
 「令和の百姓一揆」では、早急に農家の所得保障をして、米農家さんを守る必要があることが示されました。まずは日本のお米をしっかり守り、さらに日本の食卓を脇で支えてきた食材の担い手も守る政治に変えて、みんなで美味しい和食を囲みたいものです。
(まのじ)
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【2025年最新】品薄・高騰確実!日本で買えなくなる!? 消える食品7選 |備蓄
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国営諫早湾干拓事業を追った優れた番組 〜 今や死の海に近づいている有明海、開門調査を求める漁業者も非開門を求めた営農者も事業の犠牲者だった

読者の方からの情報です。
 読者の方から「しばらく前のテレビ番組ですが、いい内容でした。」と紹介されました。長崎県の諫早湾干拓事業、通称「諫干(イサカン)」のレポートでした。「ギロチン」と呼ばれた潮受け堤防で海を仕切る公共事業の後、有明海の干潟の名産品がどんどん消えていき、干拓地の農業者と有明海の漁業者が裁判で対立しているとの認識しかありませんでした。
 かつて「宝の海」と呼ばれていた有明海が今や「死の海に近づいている」という30年以上にもわたる苦悩に、RKBの里山千恵美記者が優れた取材をされていました。
 国営諫早湾干拓事業は、食糧不足を解消するための「米の増産」を目的として1989年に着工し、やがて国が減反政策をとると「防災」や「農地の確保」に目的を変更しました。
 1997年「ギロチン」が落ちた後、1999年、有明海の高級二枚貝タイラギが全滅の異変が起きたことを当時のニュース映像で見ることができます(3:10〜)。
 2001年、漁業者が「開門調査を求める裁判」を起こし、国は「諫干と海の異変との因果関係はない」と主張したものの、2010年福岡高裁で開門調査を命じる判決が出ました。この判決は民主党政権下で確定しました。
しかし、それに対して営農者が「門を開けないように求める裁判」を起こし、2017年長崎地裁が「非開門判決」を出し、自民党政権下で確定しました。2023年最高裁が「非開門」を決定し、国は「開門によらない基金による和解」だけを解決策としました。「本当にただ海で漁をしたいだけです。有明海で生活がしたいだけです。」という漁業者の声は聞き入れられませんでした。
 「有明海はなぜ豊かだったのか、そしてなぜ豊かでなくなったのか」10:17からの解説は分かりやすいです。ギロチンの影響で潮流が変わり、湾内の自然環境を破壊したことがうかがえます。漁業者の方々は海と向き合う中で実感されていました。生物学者の「開門すれば海への悪影響は大きく軽減される。海の環境は自然の法則にしか従わない。」という言葉は裁判では無視されていました。
 今回のレポートで一番驚いたのは、諫干の営農者の方の証言でした。農業者vs漁業者という利害対立の構図と思い込んでいましたが、実は営農者の方も犠牲者でした。諫干の広大な農地は、長崎県農業振興公社が5年ごとのリースで営農希望者に貸し出しますが、その条件として「門を開けないように求める裁判」の原告に加わることを要請されていました。
「僕らは巻き込まれた形ですね完全に。」「"裁判に勝たないとここで農業ができない"と、ろくな説明もなく裁判の紙に名前を書かされて。」しかも優良農地という触れ込みだったはずなのに実際は石や貝殻、魚網が出てきて悩まされたそうです。年間500万円近いリース料を払った挙句に一方的に契約を打ち切られ追い出されたと語っています。今は多くの営農者が撤退しているようです。
 国や長崎県は、一体何のために海を殺しているのか。
漁業者の方の「地域には地域の生活する基盤がちゃんとあって、そこで今まで地域が発展してきた。その源を国が潰していったら、国民が潤うわけがない。国民が潤わなかったら国が栄えるわけがない。」という切実な言葉は、国民全てを代弁していました。すぐにも開門してほしい。
(まのじ)
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「横綱格の失敗事業」有明海の“ギロチン”から27年… 諫早湾干拓事業、失われた“宝の海”漁業者の苦悩【報道特集】| TBS NEWS DIG
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