当時、この記事を世に送り出すことがどれほど大変だったか、ゾクリとする感覚で伝わりました。日常の仕事を共にする「仲間」を裏切る形にしてしまう記者クラブという組織。この記事を出した後も記者クラブで働く中では当然「仕返し」が予想され、実際に告発した相手は、通常のメディアと比較にならない情報量を持ち、政治家との間を取り持つ権限も持つNHK政治部でした。波風を立てずに仕事をするならば、NHKに楯突くことはありえないのでしょう。西日本新聞のキャップがNHKのキャップに「指南書問題」の記事を打診した際のやり取りは、その暗部を見せつけられたようでした。このシーンだけでも書かれなかった記事、消された記事が膨大にあることがうかがえます。政治家と長期にわたって特殊な「えも言えぬ関係」を持つNHK政治部は、権力の監視どころか、権力擁護のために政治家に指南までしてしまうことが当然になっていました。「指南は問題ない、証拠を残したことが問題だ」という認識を平然と語っています。「指南書問題」では西日本新聞が記事にすることができました。しかし、他社はこの時、同じ問題を知りつつ「うちは書かない」と、記事にできませんでした。
腐りきったメディアに失望し諦めてしまいそうになりますが、立岩氏はなお「心ある記者」に期待し、この「指南書問題」の再検証をすべきと訴えています。なぜならこの指南書の内容こそ、今に至るまでずっと利用されている「記者封じ」だからです。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
これ、すごい話だと思う。2000年の森政権時代、NHKの記者?が森首相に、記者会見で質問をはぐらかす手法を指南していた。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) September 4, 2021
その手法とは、まさに森氏の弟子の安倍晋三氏とその後継者の菅義偉氏が使った手口。
立岩陽一郎「首相に政権延命の策を指南した記者がいた」(Yahoo)https://t.co/cXHnHuh5AA
(続き)【会見では、準備した言い回しを、決して変えてはいけないと思います。色々な角度から追及されると思いますが、繰り返しで切り抜け、決して余計なことは言わずに、質問をはぐらかす言い方で切り抜けるしかありません。先日、総理自身が言っておられたように、ストレートな受け答えは禁物です。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) September 4, 2021
(続き)それと、朝日などが騒いだとしても、くれぐれも時間オーバーをしないことです。冒頭発言も短くし、いくつか質問を受け付けて、二十五分という所定の時間がきたら役人に強引に打ち切らせるようにしないと、墓穴を掘ることになりかねません】
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) September 4, 2021
安倍菅政権の記者会見愚弄は記者の入れ知恵だった。 pic.twitter.com/0bxOoRY9EZ
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その首相に、はぐらかしのアドバイスを忖度した天下の国営放送の、当時の海老沢会長は有名です。道理で菅さんが、鋭い質問をする東京新聞の望月記者を平気で無視するわけです。西日本新聞、長周新聞、原発取材を出版した新潟日報社さんなど地方紙が光りますね。