ぴょんぴょんの「ペットのいないペットショップ」

 イギリスのペットショップには、犬もネコも売られていないそうです。
 法律で禁じられてはいないのですが、生き物を見世物にすることに対して、国民の目が厳しいからだと思われます。
 イギリスでペットを飼うには、国に認可されたブリーダー(繁殖業者)から購入するか、シェルター(保護施設)で保護された子をもらい受けるかになります。
 年間8万匹以上の殺処分をしなければならない、動物愛護・後進国、日本。
 ここでもまた、周回遅れなのか。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「ペットのいないペットショップ」


くろまるとの運命の出会い


ピンポ〜ン! くろちゃん、いる?

おお、しろか、外は寒いから、はよ中に入れ。

はい、ホッカホカの焼き芋。

サンキュ!

あら? くろまるはどこかと思えば、くろちゃんのお膝の上で寝てる。

pixabay[CC0]


いいだろう? これほどまで、おれを信頼して身をゆだねてくれる。
これほど幸せな時間があったとは、この年まで知らなんだ・・・(ブツブツ)。

(ひとりで浸ってる?)・・・・あれ? 舌出して寝てるよ、かわいい〜!
フグフグ言ってるけど・・・寝言かな? 

きゃわいいだろ〜! おれは冬がいっちばん好きだ!
くろまるが膝の上で寝てくれる、冬が!

・・・・・くろまるは元々、田んぼのあぜ道で拾った子だよね?

そうさ。 語るも涙の、あの運命の出会いの日!
(遠い目して) 真っ赤な西日に焼けた、あの熱い暑いあぜ道で、おれは出会ってしまった。

Author:grane[CC BY-SA]



(浸ってる。)

あの日あの時、ネコの神さまがおれの散歩コースを知っていて、おれの歩く道端に
くろまるを置かれたのだ。
ありがたや〜、ありがたや〜、なんまいだぶ〜。

(念仏? ほんっと、ネコバカ!)

ん? なんか言ったか?


ペットショップにいる子たち


でも、いいよねえ、ペットってホントに癒やされるわ。
ぼくも、ペットショップで子犬や子ネコを見ると、ついかわいくて欲しくなるよ。

pixabay[CC0]


!?・・・・・うううう・・・やっぱ、おめえは、なんもわかってねえなあ!

え? いきなり、なに?

おめえ、ペットショップがどうゆう所か、わかってんのか?
あそこにいる子たちが、どんな思いでいると思ってんだ?

え?

お母さんに甘えたい盛りの子犬は、お母さんから引き離されるわ、お母さん犬は休むまもなく、また子犬を産まされるわ。
しかも、これ以上産めなくなると、引き取り屋に引き取られて、狭いケージの中で一生を終えてるかもしれねえんだぞ。

引き取り屋! なにそれ?

大きくなるまで売れ残ってしまった子たちは、「引き取り屋」に引き取られて、死ぬのを待つだけなのさ。

どうして、そんな・・・。

売れ残った動物たちは、以前は保健所で処分されていた。
しかし、改正動物愛護法が2013年9月に施行され、地方自治体がペットショップやブリーダーからの引き取りを拒否できるようになってから、「引き取り屋」という新たな業種が生まれたんだ。(sippo)

保健所で殺されるか、引き取り屋で放置されるか、どっちもひどい話。

ペットの「大量生産、大量消費という構造は変わらぬまま、業者が不要犬の『出口』を一つ失う形となっただけ。温存されたビジネスモデルは、『犬の引き取り屋』という業態を新たに活発化させてしまった。
(sippo)

人間て、なんて勝手だ!
生まれすぎると保健所行きだし。増えすぎないように、犬やネコは去勢させるし、
かと思えば、売れる品種は何匹も産ませて、用なしになると処分

日本は動物愛護・後進国だな。
イギリスのペットショップには、犬やネコは売られてない
んだぜ。

へええ? じゃ、何売ってるの?

ペットフードや、グッズ。
別に、ペットショップで動物を売ることは、法律で禁止されてないのに、なぜか置いてない。

pixabay[CC0]


それは市民、とくに動物愛護団体とかが反対するから
そうなると、ペットはどこで手に入れるの?

欧米では、ブリーダーに予約して、交配して生まれるのを待つのが主流だそうだ。

面倒くさいね。ブリーダーがどこにいるのか、知らないしね。

血統書つきとか、珍しい犬種じゃなければ、知り合いからもらったりできるだろ?

それで生まれたら、すぐにもらいに行って育てるの?

アホ! おめえ、自分の身になって考えてみろよ。
生まれてすぐ、どこの馬のホネともわからねえヤツに、連れて行かれても平気か?

いやだ。お母さんや兄弟たちと一緒にいたいよ。

だろう? しっかり母乳をもらって、母親と過ごし、自立するまでは引き離してはいけない。
子犬を親元から引き離す時期が早すぎると、とくに8週未満で引き離すと、問題行動が増えることが明らかになっている。
(NEWSWEEK)


「8週未満で引き離すと、問題行動が増える」?

日本では、「生後7週未満」で販売することを禁止しているが、本当はもう1週間、親元に置いたほうがいいんだ。
というのも、ほとんどの国や州では、「生後8週未満」の売買を禁止している。

やっぱ、人間と同じだよね。
「ぴ・よ・こ・と 2」の40ページ、「家庭内暴力、不登校といった、家庭でよく起こっている問題は、あまりにも小さいときから保育園に預け、子育てを放棄したことが原因で起こっていると感じています。」

しかも、免疫力が不安定な子になる。

どうして日本は、「8週未満」にしないんだろう?

生後7週で売りだす理由は、その時期が一番かわいいからだ。

pixabay[CC0]


つまり、買い手の都合なんだね。

8週以上になると、幼さが消えていく。
しかも、1週間分、余分にエサ代がかかってしまう。

ペットショップとかブリーダーって、ペットが好きな人がやってると思ってたけど、そういう人ばかりじゃないのか・・・。

日本でも、動きはあったんだ。
動物愛護法改正の2018年、「犬猫の殺処分ゼロを目指す 動物愛護議員連盟」が、「8週未満」の販売を禁止する改正案をまとめたが、ペット業界の猛反対に合ってダメだった。

たった1週間、延ばすだけでダメ?

報道によれば、ペット関連の業界団体の支持を受けた自民党の一部議員が規制強化に反対しており、情勢は厳しいという声もある。」
(NEWSWEEK)

またか・・・自民党、ジャマばっかし。

「とにかく、仕入れたら動物はできるだけ早く売り切る。
これがペットショップの流通の宿命だ。・・・売り切るためには、“幼なさ”が要求され、犬猫の場合は、離乳してから早い時期に(現在は49日齢)、母親から引き離されているケースが多い。
(「幼なすぎる動物の販売」をなぜ続ける?)

成長の過程で、問題が出てくるってわかってるのに。

ペットショップで買ったら、あっという間に死んじゃった、という話もけっこう聞く。
昔、おれのオヤジがペットショップで買ってきた、フワフワのマルチーズの子犬。
1週間もしないうちに、死んじまった
のを思い出した。

pixabay[CC0]


ぼくも、そういう話聞いたことある。
ペットショップで買って、名前もつけてかわいがってたのに、まもなく死んじゃって。

ショップに伝えると、「じゃあ、代わりをお持ち帰り下さい。」ってサラッと言われたそうだよ。

「ごはん、お代わり!」じゃねえぞ! モノじゃねえんだぞ!

それだけ、免疫力も弱いってことだね。


海外のペット事情


「8週未満の販売禁止」が主流なのは話したが、イギリスのイングランドでは今年から「生後6ヶ月未満の販売禁止」に延長されたんだ。
(NEWSWEEK)

日本は8週でもダメなのに、6ヶ月?・・・その頃はもう、そうとう大きくなってるよ。

イギリスでは、「ルーシー法」と呼ばれている。

ルーシー? 

不幸なワンちゃんの名前だよ。
イギリスの緑豊かなウェールズには、子犬工場と呼ばれる、たくさんの繁殖施設がある。
その中の劣悪な施設でルーシーは、数多くの子犬を産まされつづけ、これ以上産めなくなったとき、狭い檻に閉じ込められて死ぬのを待つばかりだった。
幸いにも彼女は、動物愛護団体に助け出されたが、ボロボロの状態で保護されて3年後に死んでしまったんだ。
(NEWSWEEK)


・・・・・・・・。

このルーシー事件をきっかけに、イギリスの動物愛護団体が立ち上がり、子犬・子猫販売の規制を、現状の8週未満から6ヶ月未満に引き上げるキャンペーンを張り、約15万人の市民の署名を集めた。
(NEWSWEEK)

なぜ、犬やネコの販売を「止める」んじゃなくて、年令を「引き上げる」運動になったの?

実は、売りに出す年令が上がるほど、売れなくなるからなんだ。
「6ヶ月規制の施行は、事実上、ペットショップなどでの生体展示販売の撲滅を意味する。」(NEWSWEEK)

大きくなったら、商売が成り立たないのかあ。

6ヶ月まで育つと価値が下がり、利益が出ないので、ペットショップは犬やネコを販売しなくなる。そうなると、利益優先の悪質なブリーダーも減る。
(「幼なすぎる動物の販売」をなぜ続ける?)

イギリスは、いい決断をしたね。見習うべきだよ。

ただ、それだけで事が治まるかというと、そう簡単な話ではない。
EU加盟後イギリスでは、外国からのペットの流入が増えたり、そういうペットがネット販売されたり、問題が山積みだ。
免許のいらない小規模なブリーダーが、劣悪な環境で犬の繁殖を行っているのも問題だ。

ネットでペットを衝動買いしても、結局、面倒見られなくて捨てられるんじゃない?
他の国はどうなってるの?

pixabay[CC0]


アメリカはすでに、ほとんどの州で8週未満の子たちを販売できない。
(諸外国における犬猫の販売規則)

やっぱり。

施設で保護された動物しか、ペットショップで販売できないように法律で定めたのは、カリフォルニア州が全米で初めてだった。
またカリフォルニアの動物保護施設では、勝手に動物を処分できないという決まりもある。(NEWSWEEK)

保護された子たちは、ペットショップで里親を見つけられるのかあ。

ブリーダーの生産した犬やネコを、ペットショップで売ってはいけないのは、メリーランド州、アリゾナ州(諸外国における犬猫の販売規則)、カナダのバンクーバー(地球の歩き方)、オーストラリアのヴィクトリア州
今後ショップには、動物保護施設・シェルター出身の犬たちだけが並び、店頭が彼らの里親探しの場として機能することになる。」
(IDEAS FOR GOOD)

「ペット天国」「犬天国」と呼ばれている、ドイツはどうなの?
ベルリン在住のユリシスさんに、お聞きしたいね。

調べたところ、ドイツではレストランでも電車の中でも、犬はいつも飼い主と一緒だそうだ。
もちろん彼らは、ちゃんとしつけられている。
しかもドイツの小さな町、アーヘンの公営動物保護施設では、健康な犬ネコの殺処分はしない。(WORLD NEWS)

アーヘン大聖堂 pixabay[CC0]


いいなあ、日本もそうなるといいなあ。

どうして、そんなことが可能なのか?」と聞くと、「動物の数が少ないから」だそうだ。
そのためには、ドイツの「犬税」も大きな役割を果たしているようだ。

それは犬のために使われる税金?

いや、犬のために使われるわけじゃないが、「犬税」はドイツのほとんどの自治体で導入されており、1匹増えるごとに「累進課税」だそうだ。

そうか、安易な気持ちで犬を飼う人が減るだろうね。

犬の増えすぎは、「行き場のない犬の増加」につながるから、「犬の数の抑制」は結局、人にとっても犬にとっても重要なことなんだ。
(WORLD NEWS)


問題解決のカギは、消費者


日本も、ペットに関する法律をしっかり作らなきゃいけないね。

日本でペットに関する法律は「動物愛護管理法」と「ペットフード安全法」しかない。
一方、イギリスにはペット以外の動物も含めると、8つの法律がある。
しかし、動物愛護・先進国と言われるイギリスでさえ、「国内における動物福祉法の充実度と、実際の動物の福祉とは、必ずしも連動してくれないのです。 」
(子犬のへや)

そうなのか〜。
思うんだけど、法律って限界があるよね。
日本の動物愛護法も、良かれと思って改正したら「引き取り屋」が活発になってしまった。
どんなに良く作ったつもりでも、どんなに罰則を設けても、必ずどこかに抜け穴はあるし、
都合のいいように解釈もできる
し。

あの手この手で、法をかいくぐろうとするヤツが後を絶たないからな。

しかも、その法が順守されてるどうか、常にチェックしてないといけないし。

監視すると言っても、書類の提出だけなら、いくらでも改ざんができる。
規制を強化してもそれに見合った取り締まりが伴わなければ『絵に描いた餅』になりかねず、規制の強化は規制当局の執行能力とのバランスを考慮しながら勧める必要がある」。(諸外国における犬猫の販売規則)

法律が増えるほど、お役所も忙しくなって、ご苦労さまだね。

ぬかりなく法的な整備をすることが必要となってくるわけだが、巨額なお金が動くペット産業の闇は深い。」(カラパイア)


(ため息)・・・・・てことは、ぼくたち消費者から、変わらないとダメってこと?

正解!
問題を解決するには、「消費者の教育が成功への唯一の方法だ」
法律は悪徳業者一掃にとって重要な要素だが、消費者が子犬農場を繁盛させるか破綻させるかのカギを握っている。」
(WORLD NEWS)

ぼくたちが、カギを握っているのか!

「小さいほどかわいい」、「小さい子でないと慣れない」、「赤ちゃんから育てたい」。
こうゆうこだわりを、おれたち消費者が捨てきらねえと、いつまでもペットショップで不幸な子たちが売られることになる
んだぞ。(「幼なすぎる動物の販売」をなぜ続ける?)

pixabay[CC0]


ペットをただの流行や、ブランドで選ぶのか。どうして、保護された子ではダメなのか?
その子を責任もって、最後まで見られるのか。
本当にその子を愛することができるのか。

これからのペットショップは、最悪な環境の中で、無理やり生ませたかわいそうな子たちを売るんじゃなくて、保護された動物の里親探しの場になっていくかもしれない。(NEWSWEEK)

それを実行したお店が、日本にもあるよ。
あるペットショップは、ペットの販売をやめて、殺処分を待つワンちゃんたちが、新たな飼い主を見つける場になったって。店の主はこう言っている。
「『ペットを飼おうと思えばペットショップへ』というのが当たり前で、日本全国どこでもお店はあります。ペットを飼いたいという人がいる一方で、飼い主に捨てられ殺処分を待っているペットもいます。その二つを結びつけたいと思ったんです」。
(withnews)

これぞ、ペットのためのペットショップだな。

県外の同業者でも賛同して生体販売をやめると決断したお店があります。日本全国のペットショップの半数が、こうしたお店になったらいいなというのが願いです」。
(withnews)

光が見えてきた!

pixabay[CC0]


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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