アーカイブ: スラップ訴訟

9月26日に出た3つの勝訴判決 〜 橋下徹氏からのスラップ訴訟に勝訴した大石あきこ議員、創価学会からのスラップ訴訟に勝訴した「七ツ星」さん、そして逮捕から58年で無罪を勝ち取った袴田巌さんと姉・秀子さん

 9月26日は、司法が正気に戻ったような良い判決が3つ出ました。
 2022年に橋下徹氏から名誉毀損で訴えられた大石あきこ議員は、2024年1月には一審勝訴、そして26日に二審も勝訴しました。これによって大石氏の「橋下元知事は気に入らないマスコミをしばき、気に入らない記者は袋叩きにする」「飴と鞭でマスコミDV(ドメスティック・バイオレンス)して服従させていた」などのコメントは、名誉毀損ではなく「真実」だと認められました。大石氏の一審判決後のコメント「メディアを使って勢力を 拡大してきた維新の、終わりの始まり」これがいよいよ現実になってきました。
 次に目を引いたのが、創価学会にスラップ訴訟を仕掛けられていた「七ツ星」さんの勝訴でした。これは、創価学会の刊行物を引用して批判的なSNS発信をした「七ツ星」さんに対して、創価学会が著作権侵害として言論弾圧をしてきたものでした。創価学会側は経済的損失を示せず、また学会に好意的な引用に関しては問題視していなかったことなど証拠を固め、裁判所は創価学会の訴えを退けました。
 そして26日、最も注目されたのが袴田裁判の再審でした。逮捕されてから58年、袴田巌さんは無実を勝ち取りました。この58年は、無実の人間を苦しめ続け、死刑に追い詰めた司法の邪悪さを刻みました。国も裁判所も全力で袴田さんに償ってほしいと思いますが、弟さんを守り通したお姉様の袴田秀子さんの言葉には打たれました。「巌だけが助かれば良いとは思っていない。冤罪(えんざい)事件ってものがないようにしなきゃいかん」「巌を、元に戻してとは言わん。無理を言ったってしょうがない。だけど、巌が48年間(拘置所などに)入っていたことを、何かに生かしてほしい。」ご自分たちの苦しみを、他の人々のために役立てようとされる意志は神々しいです。
(まのじ)
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旧統一教会が仕掛けたスラップ訴訟が次々と敗訴に 〜 有田芳生氏、紀藤正樹弁護士ともメディアに対して「萎縮せずに報道してほしい」統一教会の排除には国民の注視が最も大事

 有田芳生氏のテレビ番組内での発言によって名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)がテレビ局と有田芳生氏に対し、約2200万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が出ました。東京地裁は「名誉毀損としての違法性は認められない」として請求を棄却しました。続いて翌日には、やはりテレビ番組内でコメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が約2200万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が出ました。東京地裁は紀藤弁護士のコメントはいずれも「真実性・真実相当性があり、違法性はない」と判断し原告の請求を棄却しました。どちらの裁判も有田氏や紀藤氏への言論封じを目的としたスラップ訴訟で、裁判所が言わば「統一教会の主張は論外」という判決を出したことは、今後の解散命令に向けて意義深いことでした。
 有田氏も紀藤弁護士も、これらのスラップ訴訟を受けた後、テレビやラジオ出演の機会が失われ、言論を閉ざされました。記事では「紀藤氏は及び腰になりがちなメディアに対して『果敢に臨まないと、事実は掘り起こせない。萎縮することなく報道を続けてほしい』」「『被害者がいるという重要な事実を報じ、被害を封じることこそが大事です。報じられなかったらゼロになってしまう』と報道の意義を強調し、粘り強い取材と報道をメディアに求めた。」とありました。
 もるすこちゃんのツイートには、統一教会と癒着している自民党(内閣)が裁判官を指名・任命する人事権を握っていることを指摘されています。そして「司法が自民党に忖度しないよう世論(あなた)が注視し続ける事が大事!」とありました。国会、行政、司法、メディアの全てに入り込んだ統一教会を排除していくためには、正しいことが行われているか私たち国民がしっかりチェックする必要があります。
(まのじ)
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有田芳生氏の、伊藤詩織さんを支援するツイートに対して名誉毀損で訴えていた山口敬之氏 / 東京高裁で有田氏の全面勝訴、「正義は勝つ」時代に

 準強姦事件を起こし、逮捕寸前まで追い込まれたにも関わらず、時の政権に守られた山口敬之という人物は、あちこちで裁判をふっかけていたようです。そのうちの一つ、伊藤詩織さんを支援する主旨のツイートをした有田芳生氏に対して、山口氏が名誉毀損で訴えていました。一審では一部敗訴した有田氏でしたが、8月31日に出た東京高裁の判決では「逆転全面勝訴」となりました。
 弁護士の方の「正義は勝つ」という感想がひときわ印象的でした。これまでどれほどの正義が踏みにじられてきたことか。警察をも動かせる権力を味方につければ何をやっても許される時代が長く続きました。しかし今ようやく正義が勝つ時代に入ったのではないか、力でねじ伏せようとする者が生き延びる時代は終わったのではないか、そのように感じた裁判でした。この"正義は勝つ"裁判をきっかけに、司法も正気を取り戻してほしい。
 有田氏のお部屋には瀬長亀次郎氏の「不屈」の文字がありました。
(まのじ)
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ドクターハッシーさんの昆虫食を解説する動画に高圧的な削除要請がきた 〜 昆虫食の危険を訴える声を監視し規制しようとする動きに反対を

 昆虫食について熱心に調べているうちに、コオロギという文字を見ただけで身体がカユくなる、まのじです。昆虫食など無くても全然困りません。ネット上では次第に昆虫食推進の怪しさが明らかになり、同時に、昆虫食などで食糧危機に対処するくらいならば農家支援や酪農支援をすべきだという常識的な意見が主流になっていると感じます。
 そんな中、ドクターハッシーという方が「コオロギ食の『医学的な効果』を現役の内科医が解説します。」という動画をアップされていました。コオロギ食のメリットとされる点をひとつずつ検証し、医学的見地を織り交ぜながら軽快に「ロンパ」されています。たくさんの視聴があり、しかもコメントは好評なものばかりだったそうです。
 ところが。
なんと、ある企業から恫喝めいた動画の削除要請がきたそうです。内容は「食糧危機の解決策として昆虫食の可能性を模索している正式に委託を受けている認定機関です。動画内のコオロギ食を侮辱する発言、コオロギ食はアレルギーを引き起こす可能性がある、や、コオロギ食は医学的にキモい、などの発言は断じて許されるものではありません。動画の削除、そして発言の撤回、及び謝罪を要求いたします。」削除がない場合は法的手続をとるという内容証明郵便まで送り付けてきたそうです。ずいぶん高圧的です。
人々を飢餓から救うための機関であるかのように見せながら、コオロギ食の身体への健康被害は無視するとは、どういう企業なのでしょう。武士の情けか企業名を伏せてありますが、公開して市民からの抗議や不買運動を起こしても良い状況です。
昆虫食自体の危険性もさることながら、こうして反対の声を上げる人々を規制し監視する体制が背後にあることがよく分かる事件です。
 ドクターハッシーさんはスポンサーなどに忖度するお立場ではないらしく、自由に発言してこられたそうです。この動画、そして恫喝の原因になった元の動画が削除されてしまうのか分かりませんが、自由な意思表示を守る応援を兼ねてしっかり拡散しましょう。
(まのじ)
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内容証明郵便が届きました。確かにやりすぎでした…。これって裁判になるんですかね…
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【驚愕】誰もが納得してしまう、コオロギ食の「医学的な効果」を現役の内科医が解説します。
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IWJ岩上安身氏へのスラップ訴訟 〜 27日に第6回口頭弁論が行われ橋下氏と直接対峙、この裁判の核心部分を争う

 IWJの岩上安身氏に対して提訴された橋下徹氏によるスラップ訴訟がひとつの山場を迎えました。
3月27日に大阪地裁で第6回口頭弁論が行われ、岩上氏と橋下氏が直接対峙しました。
この裁判は、岩上氏、橋下氏だけの問題ではない、様々な社会的、政治的な影響を及ぼすものと思われます。
 これまでの経緯と、今回の口頭弁論をまとめてみました。
 
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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削除された、たった一つのリツイートに対して損害賠償請求の訴えが起こされた


 この訴訟は、2017年10月に橋下氏と維新議員の丸山穂高氏とがツイッター上でやりとりをし、それに関する第三者のツイートを、岩上氏が単純にリツイートした、そのことだけに対して、2017年12月27日に突然、橋下氏からの名誉毀損による損害賠償請求の訴状が届いたものでした。
事前に一切の抗議もなく、コミュニケーションもなく、突如100万円を請求された典型的なスラップ訴訟でした


相手方へのダメージが目的のスラップ訴訟


 スラップ訴訟では、かつて「元祖恫喝的訴訟」と言われた、武富士によるジャーナリスト寺澤有氏への名誉毀損裁判や、DHCによる弁護士澤藤統一郎氏への名誉毀損裁判が注目されましたが、寺澤氏によると、それがどんなに理不尽な訴えであっても「受けて立つだけで大変な時間と金、そして精神的コストがかかり、訴えられただけで持ち出しを強いられる」という苦痛を伴うもので、また職業として訴訟に携わっている弁護士の澤藤氏でさえ「ある日突然の高額請求の提訴は衝撃が大きかった」と述べておられます。スラップ訴訟の特徴は、何よりもこの大きな心理的衝撃の効果にあり、訴えられた側は、この衝撃故に思い悩むことになると言います。原告側にすれば、提訴しただけでほぼ目的を果たし、勝敗は関係ないのでしょう。
 日本にはアメリカのように、権力や財力のある強者が弱者に対して恫喝し、威圧し、経済的、肉体的、精神的に疲弊させる目的で乱発する訴訟を禁ずる「反スラップ法」が無く、このような訴訟を防ぐ手立てがありません


今回のスラップ訴訟の意義


 IWJの岩上氏に襲いかかったこの訴訟は「すでに削除されたたったひとつのリツイート」に対する異常かつ理不尽なもので、それを容認する日本の法制度の欠陥を明らかにし、同時にSNS上の言論の自由への侵害を警告するものになります。
別の言い方をすれば、このようなスラップ訴訟を認めてしまうと、ただリツイートしただけで高額の請求をされるリスクが生じ、SNS上の自由な意見表明や批評を萎縮させてしまいます
岩上氏側は、2018年の記者会見で「これは訴権の濫用、言論の自由に対する挑戦だ」と表明しています。


第6回口頭弁論の内容は


 IWJの報告と岩上氏ご自身のツイートによると、27日の口頭弁論は、橋下氏が主張する内容をはっきりと覆すものだったようです。
橋下氏の「府職員へのパワハラなどしていない」という主張に対しては、元大阪府職員の具体的な証言で反論し、橋下氏の「府の戦略会議について岩上氏は取材不足」という主張に対しては、これまでの周到な取材について説明し、逆に府の戦略会議議事録の内容から、橋下氏の陳述が誤っており、結果的に知事の独断を裏付けるものとなったようです。文字どおり「自分の嘘と無責任は棚に上げ、弱い立場の部下に責任転嫁し続け、あげくに私(岩上氏)を黙らせるべくスラップ訴訟である。」
 
 タフな岩上氏ですが、これまで刻々伝えられた情報では、さすがにこの裁判で身心ともに大変なダメージを受けられ、またIWJの運営以外でのしかかる金銭的な負担にも苦慮しておられるそうです。しかも、ツイートによると「今の裁判長に、そうした名判決は期待できそうにありません。」とあり、判事は明らかに橋下氏側に加担した態度だったようです。


言論弾圧はすぐそこに


 まだまだ判決は先になりますが、この訴訟がひとり岩上氏に関わるものでないことは明らかで、物言う市民の代表として法廷に立っておられるように感じます。
福島瑞穂議員のスピーチに「DV政権」という言葉がありましたが、スラップ訴訟もそうした志向の雛型のようです。言論萎縮と司法の偏向を跳ね返す結果が出ることを期待し、「連帯」の気持ちで注視したいと思います。

 ところで、先ほど言及したジャーナリストの寺澤氏を訴えた武富士側の代理人弁護士は、大阪のダブル選挙の渦中にある、現大阪市長の吉村洋文氏だったそうです。橋下氏や吉村氏にとって、法は人を守るためにあるのか、有利に利用するためにあるのか、政治のツールに過ぎないのか、それを判断するのは私たちの責務かもしれません。

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