注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
・2020年7月25日、長鋪汽船が所有する大型貨物船「WAKASHIO(わかしお)」が、インド洋の島国モーリシャス南東沖のブルーベイ海洋公園付近で座礁。船体が損傷したことで1千トン超の燃料の重油が流出し、深刻な環境被害をもたらす事態に発展している。
・豊かな海洋資源や自然環境を重要な国家運営の基盤にしているモーリシャス政府は、「環境非常事態宣言」を発令。現地に生息しているサンゴなどの多様な生物に壊滅的な被害を引き起こす恐れが出ており、運航していた商船三井が会見を行ない、事故について謝罪。モーリシャス政府からの要請で、日本政府も緊急援助隊の派遣を決定したものの、「対応が遅すぎる」との声が出ている。
(中略)
まさか、モーリシャスでこのような悲惨な事態が発生していたとは…。
私も、日頃からアンテナを張って情報を集めているつもりですが、このニュースについては、つい先ほどになってから初めて知りました。
なんだか、NHKも9日になって、本格的な第一報を報じているような伝え方だけど、なぜ、事故から2週間も経ってからマスコミが徐々に報じ始めたのだろう?
日本の貨物船が座礁事故を引き起こしたモーリシャス沖は、世界的にも大変貴重な海洋自然環境が残されている場所で、今回の事故によってかけがえのない地球環境そのものが大きく破壊されてしまったと同時に、こうした豊かな自然資源を国家運営の重要な拠り所にしてきたモーリシャスにとっては、国家そのものが潰れてしまう危機にあるといえそうだ。
まだ、詳しい事故原因が分かっていないので、多くを語ることは難しいけど、「日本の貨物船が海外の小国で深刻な重油流出事故を引き起こしてしまった」という事実や、地元の人々が深い悲しみに暮れつつ、国民総出でこれ以上の被害拡大を懸命に食い止めようとしていることなど、これらについて、日本国民こそがよく知る必要がある。
なぜ、日本のマスコミがここまでまともに報じていないのかが非常に不可解だけど、大多数の日本国民自身がこの事故を知らない(というか、ネットで積極的に調べない限り、知る機会がなかなかない)という事実そのものも大問題だろう。
最近の海外における日本に対する印象といえば、山口敬之氏の「レイプ逮捕」揉み消しや核兵器禁止条約への反対姿勢など、それまでの「紳士的」「平和国家」などのイメージを大きく損ねる事態が続いていますし、今回の事故においても、日本政府が真摯に対処に動かない限り、ますます私たちの国が世界から白い目で見られるようになってしまう恐れがあります。
まさに、第二次安倍政権発足後、(「日本スゴイ番組」の乱立と反比例するように)日本に対するイメージがダダ下がり中だからね。
いずれにしても、この問題について、マスコミはできるだけ詳しく報じないといけないし、会社側だけでなく、日本政府も真摯で丁寧な対応を行なうことが必要なのは間違いないだろう。
(ちなみに、海運業界における責任の所在の形などについては、この記事を読めばおおよそ理解することが出来そうだ。)
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現地では刻々失われる貴重な生命を救うべく作業が行われています。しかし従来の有害な「石油分散剤」やオイルトラップの設置などの対応では有害かつ除去効果がさほど望めず、現地の方々の手作業による除去作業に頼っているのが現状のようです。
そこになんというタイミングか、ロシアが石油製品を「食べ尽くす」バクテリアの石油収着剤を開発したとスプートニクが報じました。ロシアはノリリスクでのディーゼル燃料流出事故を経験し、そこでの対応で開発したそうです。モーリシャスでも役立てばどんなに喜ばれることか。