本屋をうろうろしていたら、2列に平積みされた詩織さんの「ブラックボックス」が目に入った。これまでも読んでみたいとは思っていたが、内容が内容だけになかなか買うのがためらわれた。しかし、平積み2列の本もかなり山が小さくなっていて、こんな僻地ですら関心を持つ人が多いのに感心した。
————————————————————————
ぴょんぴょんの「ブラックボックスを読んだ」
「ブラックボックス」読んだよ...
深刻な顔して、どうしたの?
「ブラックボックス」読んだよ。
詩織さんが書いたあの本だね。どうだった?
">
表紙の写真、美しいけど悲しげな詩織さんをみていると、正直読むのがこわかった。
表紙の写真、美しいけど悲しげな詩織さんをみていると、正直読むのがこわかった。
なんだか、レイプが中心の話と思うと気が重いよね。
そうなんだ。たしかに生い立ちから事件に至るまでのくだりは、なんでこんなことに巻きこまれたのか、本人がもっとしっかりしていれば、とか批判的に読み進めていたよ。
でも、記者会見の詩織さんとか見てると、けっこう気丈夫って感じで。
読みゃわかるよ。あれは、気を張ってるだけだって。中身はトラウマによるPTSDでぼろぼろなんだよ。
当然だよね。名前も公表しちゃったし、家族とか周囲も大変だよね。
たしかに一般的にはそう思うだろう。しかし、家族もかなり理解があるし、なにより友人に恵まれている。そういう友人をもつ本人も、まっとうな人だと思えるね。
詩織さんのスゴイところ
加害者の山口はどんな思いで、この出版のニュースを聞いたんだろう?
加害者とか、そういう言い方は当たらないな。詩織さん自身も自分のことを被害者だとは思っていないし。事件直後から「不思議なことに、私はこの当時から相手に対し、怒りという感情を持つことができなかった。」そうだ。
それは、驚きだよ。こういう事件の場合、まず怒りがいちばんにあると思うが。
そうなんだ。そこが彼女のスゴイところだと思うよ。ふつうの女性ではない。それをふつうの女性と勘違いして、彼女に接したことが山口の失敗だな。
そうかあ、山口がそれまでモノにしてきた「ふつうの女性」だったら、こんなふうに世間に自分の醜態をさらされることもなかっただろうからなあ。
山口ってさ、それまで多くの女性を、こんなふうに獲物にしてきたってことが見え見えよ。詩織さんをレイプして別れた後に、山口から「何事もなかったかのようにかかった電話」ってのが、それを証明してるね。
それまでは、ずっとそんな感じでやってきたんだろうなあ。そして被害にあった女性たちも、相手が有名人で権力者の山口だから、文句も言わずに通り過ごせば何らかの恩恵があったんだろうなあ。
まさにそう。ホテルでおそいかかる山口に抵抗して、詩織さんが「一緒に働く予定の人間にこんなことして、何のつもりなの」と英語で叫んだときも、「君のことが本当に好きになっちゃった」とか、「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」って、ふざけたヤツ!
ワシントンに連れて行かれて、毎晩こんな目にあうとこだったね。
じっさい、こういう目にあって何も言えずにいる女性はどれくらいいるのかと思うよね。
女性の昇進を、なんか違う眼で見てしまいそうだ。
女性の昇進を、なんか違う眼で見てしまいそうだ。
» 続きはこちらから