注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
この細胞は
・骨髄、皮膚、脂肪などの間葉系組織にメインに存在し、また様々な臓器の結合組織にも内在する。市販の間葉系の培養細胞からも得られ、アクセスしやすい。
・1細胞から体中の様々なタイプの細胞に分化可能。自己複製能も有する。
・そもそも体内に自然に存在する細胞であり、腫瘍化の危険が極めて低い。
・すでに施行されている骨髄移植 (0.03%)や間葉系幹細胞移植 (~1%)の一部の細胞に相当し、安全性の実績がある。
・線維芽細胞と同程度の増殖力を持つ。
などの特徴を有します。
(中略)
(以下略)
2007年ごろ、(中略)…骨髄の細胞を株分けするために、トリプシンという消化酵素をかけて処理していました。その最中に、共同研究者の京都大学大学院理学研究科の藤吉好則教授から、飲みに行こうと電話がかかってきました。そこで、急いで出かけなくてはと思って、大変な間違いをしてしまいました。株分けした細胞を血清の入った培地に入れたつもりだったのが、再びトリプシン消化酵素を入れてしまい、飲みに出かけてしまったんです!
(中略)
細胞は消化酵素の中に12時間以上漬けられていたためほとんど死んでしまっていました。ショックでしたねえ。ただ捨てる前にもう一度チェックする癖があって、のぞいてみたら、わずかに生きている細胞がいたんです。なぜこの細胞は生きているんだろう、なにか発見できるかもしれないと、ダメでもともとと遠心分離器にかけて集めた細胞をゼラチン上で培養したところ、多能性幹細胞だったんです。
共同研究者の藤吉教授とこの細胞を「Muse(ミューズ)細胞」と名付け、2010年4月に発表したところ、「第3の多能性幹細胞」などとマスコミでも取り上げられました。
(以下略)
番組の中で、発見者の東北大学、出澤真理教授は、“「Muse細胞」の一番の素晴らしさは自然の理にかなった細胞である”と言っていますが、もともと私たちの体の中にある細胞であれば、まったくこの通りだと思いました。すでにMuse細胞を大量に培養し、製品化を進めている企業もあるようです。
下の記事によると、出澤教授がこの細胞を発見した経緯が書かれています。やはり大失敗から大発見が生まれています。人間は間違えるのですが、その間違えるということから、飛躍的な進歩が起こっていることがほとんどです。記事によると、“(失敗した細胞を)捨てる前にもう一度チェックする癖”があったために、この大発見につながったようです。ひょっとしたら、凡人と天才の差はほんの僅かな違いなのかも知れません。
Muse細胞のことを知ると、あの小保ちゃんのSTAP細胞の騒ぎは何だったのかという気がします。