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[鈴木宣弘氏] 日本の農と食の危機が迫っている今、日本人の抗議は「詰めが甘い」「単なるパフォーマンスに終わる」/ どんなに不利な状況でも戦わねばならない時

 鈴木宣弘先生の渾身の警告でした。前半は、これまで何度も伝えてこられた日本の農業と食料の危機的現状です。そして後半は、絶体絶命の今、私たち各自の取り組みを「強化してスピードアップしないと、日本の農と食が救えない」ことを述べておられました。
「戦後のアメリカの占領政策のもと、食料からの属国化が進み、日本の食を独立させないために、どんどん農産物の貿易自由化が進められ、日本の農業の弱体化と日本の食料自給率の低下が進んだ。農業予算もどんどん減らされた。
いつでも安く食料が輸入できる時代は終わりを告げ、一方で赤字に苦しむ日本の農家はどんどん倒産し、今や日本の農家の皆さんの平均年齢は69歳。事態は深刻で、あと5年で農業が消える集落が日本中に出現する。この状況を放置し、本当に海外から食料が入らなくなったら、日本人はたちまち飢える。『農業問題は消費者問題』ということを皆がしっかりと知って、行動を起こさないといけない事態だ。
 取るべき政策は、国が農家の赤字を補填して生産が継続できるようにすること。また米は減反ではなく増産に転じて、政府が米を買い入れて備蓄を増やす。耕作放棄地には、他国のように農地に対する直接支払いを充実させて農地を守ること。
 しかし、ここに財政当局の縛りがある。アメリカから言われた武器を買う金はあるが、農業政策はできない。農業を守ることこそが国防だと理解する国会議員は多いが、議員立法は十分に進まず、財政当局の壁は打ち破れない。
(6:10〜)そのような中、私たちがやるべきことは、「植えるか!飢えるか!」運動だ。飢え死にするか、自分で植えるか、これぐらいの危機感で各人がリーダーとして、自分の地域で農家の皆さんと共に耕作放棄地を耕して、農家と消費者が一体的に一緒に作って一緒に食べるような「ローカル自給圏」をみんなの力で作っていく。それを自治体の政治行政がしっかりとサポートして、やがて国の政治行政を動かしていく。」
 フランスの女性が鈴木先生のセミナーを聞いて、「日本の皆さんはセミナーを聞いて、よく勉強して、がんばっている。でも詰めが甘い。フランスだったら政府が動くまで徹底的にやる。トラクターに乗ってパリに通じる道路を封鎖してでも、政府が"分かった、ちゃんと政策をやる"と言うまでやめない。そこまでやらないと結局パフォーマンス、アリバイ作りで終わってしまう。」と意見されたそうです。批判しても抗議しても動かない政府を追い詰めるのは政治家ではない、私たち国民しかいないということを指摘されたと思いました。
 鈴木先生の決めゼリフ「正義は勝つ、こともある」というそのココロは、「正義はそう簡単には勝たない。正しいことであっても実現できない不利な状況だ。しかし私たちは将来の子供達に責任がある。どんなに不利な状況でも戦わねばならない、今はその時だ。」
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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アリバイ作りは許されない~限界近づく食の危機
配信元)


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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】残された時間は多くない~「詰めの甘さ」の克服
引用元)
(前略) 農業を「生贄」にするために、メディアを通じて、日本の農業は過保護で衰退したんだっていう嘘が刷り込まれた。日本の農業は補助金漬けだって。でも調べたら、せいぜい所得に占める税金の割合は3割。スイス・フランスほぼ100%だ

えっと思うかもしれないが、命を守り、環境を守り、地域コミュニティーを守り、国土国境を守っている産業は国民がみんなで支える、世界の常識だ。それが唯一、おかしなことかのように思わされている日本人が、世界の非常識じゃないかと言うことを今こそ考えないと。

フランスのように政策を頑張ってきた国の農家の平均年齢は51歳。日本の農家の平均年齢はもう69歳。10年経ったら、日本の農業農村、どれだけ存続できるか。今、全国を回っているけれども、5年持たないって言う声さえ多い。特に、稲作や酪農が。あと5年続けてくれる人がこの地域にはいないと。地域が消えると。そういう状況がどんどん進んでいる

皆さんは一生懸命、農家と消費者が支え合う仕組みを作ろうとしてくれたり、農業をしっかりと頑張ってくれているけども、その皆さんの努力をもっともっと強化してスピードアップしないと、日本の農と食が救えないという、こういうことになってきているんだということを、ぜひ認識して、さらに皆さんが一肌も二肌も脱いでいただかないといけない状況だ。
(以下略)

久保田治己氏『農協が日本人の“食と命”を守り続ける!』〜 農協バッシングや「農協改革」と戦いながら「国民経済の発展に寄与する、日本人の、日本人による、日本人のための」組織

 1983年から全農に勤務され、農協と穀物メジャーとの戦いを身近に体験された久保田治己氏が「農協が日本人の“食と命”を守り続ける!」という本を出されました。「米国が恐れ、国際資本が狙い、世界が注目するこの最強の存在を、私たち日本人だけが知らされていない」という国際ジャーナリストの堤未果氏のドキッとする言葉が添えられています。
 農協といえば、かつての時事ブログにあった「TPP協定に沿った国内法の整備」の一環で浮上した「農協改革」を思い出します。農協バッシングが巻き起こり「全農株式会社化」の法案も通りました。日本買いが進む今、実は農協が日本のためにがんばっているということを知らせる本のようです。
 農協の組織を大まかに見ると、市町村ごとに農家の方々が(株主のように)出資をして「農協」を作る。その「農協」が集まって、都道府県ごとに「連合会」を作る。その連合会が集まって「全国連」を作る。その「全国連」は機能別に別れていて、米とか野菜を売ったり、肥料、農薬を買って農家に供給したり商社的な働きをするのが「全農(全国農業協同組合連合会)」、信用事業、金融事業は「農林中央金庫」、生保・損保など共済事業を「全共連」、他にも新聞、観光、病院「厚生連」などあり、全てを束ねているのが「中央会(全中)」、それらを全部集めて農協グループとかJAグループとか言うそうです。
 かつて久保田氏の提案で、日本が飼料用の穀物を安定的に輸入できるよう南半球の「AWB(オーストラリア小麦庁)」と全農の相互出資で合弁の子会社を設立しました。「AWB」はオーストラリアの小麦を独占的に輸出する権利を持っていた組織で、当時でも世界最大の穀物サプライヤーでした。その「AWB」は民営化が進み、株式上場した途端に巧妙な手段でカーギルに買収されてしまいました。そしてその5年後の2015年ころ、日本の規制改革会議が「全農を株式会社化しろ」と提言をし、「農協改革」が始まりました。
 「全農の株式会社化は進んでいるのか」という三橋氏の問いに、久保田氏は「農協法が改正されて、株式会社化できるということになった。しかし全農はまだその必要性を感じていない。」と答えました。「なぜカーギルが全農を買収したがっているのか。」という問いには、「アメリカから輸入される飼料用のトウモロコシの中で『遺伝子組み換えをしていないトウモロコシがほしい』という生活クラブ生協の要望に応えて、生協と全農が一緒になって、アメリカの農家から日本の畜産農家までを全部、分別管理をして遺伝子組み換えをしていないものを分けて運んでくる物流体系を構築した。するとその結果、他の商社も、全農にマーケットを奪われないよう穀物メジャーに同様の要求をすることになった。このような全農と生協との取り組みを好ましくないと思った者たちがあるらしい。」「アメリカのニューオーリンズに、輸入の分別管理に必要な全農の子会社がある。その子会社を買収できれば、全農と生協のルートを潰せるが、全農がその子会社を売ることはない。なので、親会社の全農を丸ごと買収しようというシナリオのようだ。」と見ておられます。5年前の「AWB」も同様に子会社を買うために親会社が買収されたことから、同じ手法で全農が狙われているということのようです。
 農協の機能のうち、JAのガソリンスタンドの話は印象的でした(14:32)。「農協さんがやらないと、その地域では誰もやらないですよね。」との三橋氏の言葉を受けて「経済的には成り立たないところでも、組合員さんがおられれば地域を守らなければならない、歯を食いしばってがんばっている。」と、まさしく公助を引き受けているのでした。
 著書の「はじめに」で紹介されているエピソードには、「世界中が未知の感染症に恐怖していた時期に、日本で最初の新型コロナ感染者を受け入れた病院は、JA神奈川県厚生連の相模原協同病院だった」ことや、「能登半島地震の発災後、翌日午前中に全国から駆けつけた18チームのDMATのうち、15チームが農協グループの病院だった」ことが記されています。農協へのイメージが変わりました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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島根県吉賀町で「国消国産(自給率UP!)」「農業者に寄り添った農政を!」と訴えるトラクター行進 / 農家を守ることは国防の基本、消費者も農業を守る政治家を選ぼう

読者の方からの情報です。
 2023/9/16時事ブログにも取り上げたことのある、鈴木宣弘先生と三橋貴明氏との対談がネット上にピックアップされていました。わずか3分ばかりの動画ですが、日本政府が日本の農業を追い詰めている現状を指摘されています。「国内の農家がバタバタ倒れてるのに、国は何もしない。輸入しとけばいいと。」「アメリカの今だけ、金だけ、自分だけのグローバル企業とか、それとツーカーの日本のビジネスの一部の人が官邸に『これやりたいんだけどな』って言ってくると、それが規制改革推進会議とかに降りてきて『これいいじゃねえか、俺たち儲かるな、やっちまえ』と言うと、自民党の農林族も農業組織も、霞ヶ関・農水省もほとんど文句が言えないみたいな。」
 農家を補助金で守り、食料自給率を上げ、国民を飢えさせないという、どこの国でもやっていることをやろうとしない日本政府に対して、ついに農家の方々が抗議のトラクター行進を決行しました。島根県吉賀町の農家さん達がトラクター22台を連ねて「国消国産(自給率UP!)」「農業者に寄り添った農政を!」と訴えたそうです。応援の園児達が可愛いです。代表者の方が「消費者と生産者をつなぐ大きなうねりにしたい」と語っておられましたが、消費者にとっても食糧安保は切実です。農家、消費者の訴えを聞く耳を持つ議員をしっかりチェックし、いざ選挙の時はまともな候補者を選ぶことで抗議しましょう。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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農家がトラクターで町内行進 厳しい農業経営を持続可能に 島根県吉賀町
引用元)
「全国に運動を波及させたい」

生産資材価格の高騰など農業経営を巡る環境が厳しくなる中、消費者に持続可能な農業実現への理解を呼びかけようと、島根県の吉賀町農政会議は18日、トラクターで町内を行進した
(中略)
 集まったのは、トラクターや軽トラック26台。のぼりやマイクで「国消国産(自給率UP!)」「農業者に寄り添った農政を!」と訴えながら、JAしまねの農産物集出荷場から同町役場まで約3キロを走行した。

 小雨混じりの寒空の下、保育園のそばを通過した際には園児らが、野菜が描かれた旗を振り、見送った。行進後、同町役場で岩本一巳町長に要望書を手渡しした。

 同農政会議の斎藤一栄会長は「農民の要求を高らかに掲げ、訴えることで自負心も育つ。小さな一歩からうねりを起こし、全国に運動を波及させたい」と意気込む。

[鈴木宣弘氏] 今後20年で農業従事者数が30万人に激減するという仮定のもとに農業法人への企業参入を進める日本の亡国政策 / 「農家が元気に生産できる政策こそ本来の役割」

 鈴木宣弘先生が、日本を亡国に導く農業政策を批判されていました。「今後20年で、基幹的農業従事者数は現在の約120万人から30万人まで約1/4まで激減する」という予測があるそうです。そうなると大多数の農家が潰れることになるので、日本政府は今後、少人数で規模拡大が可能な農業法人化を進めて「スマート農業、輸出、海外農業投資」を展開させようとしています。非農業の企業が農業法人に参入しやすくする法改正も進めるようです。
農家を支えるための「政策は十分やったのだから潰れるほうが悪い(中略)。もうこれ以上、農村全体を支える政策は行わない。」という国の方針ですが、その十分やった政策というのは、農作物の販売収入に対してゲタを履かせることで生産費割れの状況を防ぐ「畑作のゲタ政策」、価格や収量が変動しやすい米や畑作物の収入が大きく落ち込んだ場合に、それを補てんするセーフティーネットの「コメのならし政策」、農業者が加入する国の「収入保険」、生産条件が不利な山間などの農業を支援する「中山間地・多面的機能直接支払い」など、いずれも当面の経済支援で、しかもよく見ると様々な条件をつけて、とても全ての農家が安心して営農できる内容ではなさそうです。まして日本の農業を大きく発展させる政策ではありません。「こうした方策で、国民への十分な食料供給も、中山間地が多い日本の農業・農村を守ることもできるわけがない。」
 鈴木先生は「そもそも、出発点が間違っている。」として、農業を担う人が30万人に激減するという仮定に政策を合わせるのではなく、「農家が元気に生産を継続できるようにする政策を強化して、趨勢を変えることができれば、流れは変わる。それこそが政策の役割ではないか。」と、本来の国の農業政策に立ち返るよう訴えておられます。
「大局的見地に立った国家観のない政策、人々の命と暮らしを守る視点の欠如した政策は亡国である。」
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】議論の前提が間違っている~人口問題、農業就業者問題
引用元)
(前略)
 今後20年で、基幹的農業従事者数は現在の約120万人から30万人まで約1/4まで激減するのだから、農業をやる人はいなくなってくるのだ。だから、それに合わせて、企業参入を進め、少ない人数で一層の規模拡大をする必要がある、といった議論がよく展開される。先般の食料・農業・農村基本法の改定でもそうだった。
(中略)
すでに畑作のゲタ政策、コメのナラシ政策、収入保険、中山間地・多面的機能直接支払いなどが行ってきたのに、それでも、農業の疲弊が加速している。政策は十分やったのだから潰れるほうが悪い(コスト上昇が考慮されないから今回の危機に対応できないという政策の不備は認めない)。もうこれ以上、農村全体を支える政策は行わない

大多数の農家が潰れることを前提に、規模拡大、スマート農業、輸出、海外農業投資、などを展開するために、農業法人における農外資本比率の条件を緩和する(50%未満→2/3未満)などの企業参入の促進のための規制緩和を進める、といった議論だ
(中略)
 これは、そもそも、出発点が間違っている。基幹的農業従事者が120万人から30万人になるというのは、今の趨勢が続いたら、それを放置したら、という仮定に基づく推定値であり、農家が元気に生産を継続できるようにする政策を強化して、趨勢を変えることができれば、流れは変わる。それこそが政策の役割ではないか
(中略)
(中略)狭い目先の効率性、歳出削減しか見えない政策では、農業・農村が崩壊して一部の企業だけが儲けたとしても、日本の地域社会、資源・環境、人々の暮らしと命は守れない。大局的見地に立った国家観のない政策、人々の命と暮らしを守る視点の欠如した政策は亡国である

[トモ農園] 財務省の諮問機関「財政制度分科会」が日本の農業と農家を潰す政策を提言 〜「備蓄米の水準を減らす」「農家の保護予算を減らす」「食糧自給率の維持の放棄」

読者の方からの情報です。
 財務省の諮問機関である「財政制度分科会」が農業のあり方を審議したと報じられました。分科会の会長は、経団連会長の十倉雅和氏です。ここで農林水産関係の予算が財政の負担になっているとして、財務省は日本の農業予算をもっと削って、国民が食べるものは輸入に頼っていいという海外依存を提言しました。その内容を「トモ農園」さんがわかりやすく解説されていました。
 今後、財務省は「備蓄米を削減」「農家の保護予算を削減」「食料自給率の維持を放棄」という方針で、本格的に日本の農家と農業を潰しにきます。
 「備蓄米の削減」について財務省は、現在100万トンの適正備蓄水準が多すぎるとして、MA米(ミニマム・アクセス米)を活用するなどして備蓄米を減らす工夫を求めています。MA米とは「不要だけれども国が海外から無理やり買わされている(いずれ飼料用米になる)ので、実質的に無駄になる」(6:15)、その上、保管費用が負担になっているので、MA米を主食用米に回せと言うのです。「トモ農園」さんは、そもそも食料安全保障の観点では備蓄100万トンですら少なすぎる上に、「日本に米騒動が起きた時は、アジアも米不足で出荷停止したことを数ヶ月前に経験したばかり。MA米に頼るのはリスクが大きすぎる。」と述べています。
 「農家の保護予算削減」は、具体的には減反政策を廃止するものです。これまでコメ以外の農作物や飼料米への転作を推奨して補助金をつけていましたが、この補助金を止める方針です。農家の多くは米を作って赤字になったところを、他の農作物の「転作助成金」で穴埋めをするようなギリギリの農業経営をしていました。この補助金がなくなると、農業法人も例外なく99.9%の農家が倒産する見通しです。
 このようなムチャな政策を進めると、当然、食料自給率は下がります。財務省は「自給率が下がってもよい、輸入に頼ればよい、輸入米を食ってろ」と言わんばかりに「食料自給率に過度に引きずられることなく、国民負担最小化の視点は重要」と言い、「食糧自給率維持の放棄」を提言しました。
 先の衆院選で自民党は「水田活用のための予算は責任をもって恒久的に確保する」と公約しました。ここでも国民を裏切るか?
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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財務省は食料自給率の改善に反対し備蓄米も削減すべきと、有事の際には国民が飢える
引用元)
(前略)
財務省は、日本国民が食糧危機に陥った際に最後の頼みの綱となる政府備蓄米を削減すべきと提言するとともに、米や他の食料に関しても国民負担で国内生産を拡大すべきではないとの提言を実施した

財務省で11月11日に開催された財政制度分科会では、議題に農林水産の分野が含まれていた。

この際に使用された資料によると、米の備蓄に関して、『米の政府備蓄については、適正備蓄水準を100万トン程度とし、毎年20万トン程度を主食用米として買い入れ、同程度を主食用米の需給に影響を与えないよう飼料用等として売却(棚上備蓄)。こうした運用による保管経費や売買差損により毎年度400~600億円程度の多額の財政負担が発生』との見解を示している。

そのうえで、『現在の適正備蓄水準は、大不作の場合などに備え、平成13年に当時の年間需要量900万トンを前提に設定されたもの。まずは、現在の需要量(700万トン程度)を前提に設定し直す必要があるのではないか』との提言を実施している。

また、輸入米に関しては、『輸入したMA米を主食用米として流通させないよう、加工用・飼料用等として販売することで多額の財政負担が発生。例えば、緊急時には市場に影響を与えない範囲で活用するルールを設けるなどにより、前頁の備蓄水準・財政負担の減少に繋げる工夫を検討するべき』との提言も実施している。

その他の観点からは、『現在の輸入品の大宗は、政治経済的に良好な関係の国からのもの。こうした品目については、あえて国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入し、他の課題に財政余力を振り分けるという視点も重要ではないか』との提言も実施している。
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食糧危機に警戒 財務省が農家保護打ち切りの方針
配信元)

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