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年間2000トンの油ヤシ廃棄樹木から新たな可能性が生まれるかもしれない 〜 日本の研究による新素材で熱帯雨林破壊を防ぐ

 折々チェックしている森林ジャーナリストの田中淳夫氏が、面白いレポートをされていました。
今や世界の食品業界にはなくてはならないパーム油ですが、このオイルが採れる「油ヤシ」(オイルパーム)にスポットを当てています。
 パーム油はインスタント食品やスナック菓子など加工食品の多くに使われるだけでなく、バイオディーゼルエンジンや火力発電の燃料にもなり、植物油としては世界で最も生産される安価な油です。
 ところが、このオイルが得られる「油ヤシ」はインドネシアとマレーシアの熱帯雨林を伐採した広大なプランテーションで栽培されるのが問題で、田中氏によれば「日本の面積の半分以上が油ヤシで埋め尽くされ」、重大な熱帯雨林破壊になっているようです。しかも、油ヤシは20年で収穫量が減るため、次々に新しい森林を伐採し新たに農園を広げます。
 役目を終えた油ヤシは年間2000トンの廃棄樹木となり、腐敗や放置、河川の汚染などにより悲しいかな新たな森林破壊の原因になっているといいます。
 そこに登場したのが、京都府立大学大学院、生物材料物性学研究室による廃棄樹木の活用です。
伐採された油ヤシの樹幹から長い維管束というものを取り出しボードにしてみたら、驚くことに強靭で、エネルギーの吸収率が高いことが判ったそうです。
「ライバルは木質ボード類ではなく、FRPや金属製品」という意外な可能性が広がっています(FRPとは、プラスティックの中にガラス繊維や炭素繊維を入れて強化した材料)。さらに廃棄樹木の他の部分も家畜の飼料に向いているとか。
 新たな生産の道が開ければ、熱帯雨林破壊を防ぐだけでなく、環境負荷の少ない製品の開発にもなりそうです。
 がんばれ!日本の研究者!
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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FRPに匹敵?油ヤシの幹から生まれた新素材は熱帯雨林を救えるか
引用元)

(前略)
 そこで、この廃棄される幹を利用して商品化する研究が行われている。廃棄樹幹による環境破壊を抑えるとともに、ヤシ油以外の収益源を生み出すためである。取り組んだのは、京都府立大学大学院の生物材料物性学研究室の面々
(中略)
 まず浮かんだのは、幹を柔細胞と維管束という組織に分けて使うということだった。とくに油ヤシの樹幹は、水や養分を通す維管束組織が非常に長い繊維になって多く存在している
「普通に破砕すると、維管束の繊維も短くなってしまいますから、ローラー式のゼファー処理機にかけて、柔細胞を分離して数十センチもの長い状態の維管束を取り出しました。それを樹脂で固めてボードにしてみたんです」(古田裕三教授)
(中略)

「一見チップを固めたパーティクルボードに似ていますが、むしろ性能は樹脂にガラス繊維などを埋め込んだFRPに近い。だからライバルは木質ボード類ではなくて、FRPや金属製品です」(古田教授)
 FRPと似ているなら、自動車や鉄道車両の内外装、あるいはユニットバスのような住宅設備にも適しているかもしれない。プラスチックや金属の製品を木質ボードに換えられたら目に優しく写るだろうか。

 さらに分離した柔細胞は、豊富なデンプンを含むことから、家畜の飼料に向いていることがわかった。ブタやウシに与えてみたが、よく食べて混合飼料の一つとして十分に使えると確認できた。またデンプンだけを抽出すれば食品化も夢ではない。
 いずれも素材は廃棄物なのだから、原材料費はゼロに近いだろう。すでにボードや飼料としての使い道に興味を示しているメーカーがあるそうだ。
(以下略)

国の奨学金の返済義務、保証人は半額であることを伝えないまま全額請求していた日本学生支援機構 〜 そもそも奨学金は贈与すべきもの

 日本は学生という「人材」を育てるのではなく、学生という「カモ」を絞り上げているようだ。
日本学生支援機構が奨学金を貸与する際、本人の両親が連帯保証人に、さらに親族が保証人になるそうです。本人も両親も返済できなかった場合、保証人に返済請求が行きますが、その場合、支払義務は未返還額の半分でよいそうです。
 ところが日本学生支援機構は、そうした「半額でよい」ことを説明せずに容赦無く全額請求し、9割の人が返済に応じていました。取り上げたのは法律を知っていれば半額の返済ですむよというニュースで、ある意味、保証人になった方には必要な情報かもしれません。
 しかし、残りの半額は、やはり学生本人と両親に残り、機構はしっかり回収しに来ます。
非正規雇用の不安定な生活の中、返済したくてもできない、可能な限り返済を続けても延滞金が増え続け元本が減らないという「貧困ビジネス」が指摘されて久しく、奨学金で人材を育てるどころか、彼らの人生を追い込んでいます。
 かつて日本育英会の奨学金は「無利子」であったものを、1984年、中曽根政権が有利子枠を作り、以後拡大させ、ついに2000年代に日本育英会は改編され、金融事業としての奨学金制度を扱う日本学生支援機構になりました。奨学金とは名ばかりの学生ローンを国をあげて融資しています。
 本来、奨学金は学生に贈与すべきものでした。「国民の教育レベルを上げることが、ひいては社会全体の利益になる」という認識があり、日本の繁栄もそうした先人たちの教育への熱意の賜物だという見解もあります。利子をなくすだの半額返済だのという議論がすでに間違っていると思うのです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)

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奨学金、保証人の義務「半額」なのに…説明せず全額請求
引用元)
国の奨学金を借りた本人と連帯保証人の親が返せない場合に、保証人の親族らは未返還額の半分しか支払い義務がないのに、日本学生支援機構がその旨を伝えないまま、全額を請求していることがわかった。記録が残る過去8年間で延べ825人に総額約13億円を全額請求し、9割以上が応じたという。
(中略)
 法務省によると、この場合、連帯保証人は本人と同じ全額を返す義務を負うが、保証人は2分の1になる。民法で、連帯保証人も含めて複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負うとされるためだ。「分別の利益」と呼ばれる。

 しかし機構は、本人と連帯保証人が返せないと判断した場合、保証人に分別の利益を知らせずに全額請求している。その際、返還に応じなければ法的措置をとる旨も伝えている
(中略)
 機構が保証人の分別の利益を認めた場合、未返還額の残り2分の1は本人や連帯保証人が支払い義務を負う。
(以下略)

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東京新聞のスクープ:防衛省が「自然災害や不況対策として組まれる補正予算」を兵器購入の穴埋めに使っていた 〜 背景には安倍政権2014年以降に防衛装備品の購入ローンが急増

 1日の衆議院予算委員会でも取り上げられた防衛費予算のスクープです。
護衛艦や潜水艦の建造費について当初予算に盛り込まれなかった分が、そのまま補正予算に計上されていたことが発覚しました。補正予算は本来、自然災害や不況対策など予期せぬ事態のために組まれるものですが、防衛省の艦船建造費の要求額が、本予算と補正予算の合計額にピッタリ一致したという感心するほど勝手な税金の使い方です。
 今回発覚したような年度が異なる補正予算と当初予算をセットで組むやり方は、安倍政権下の2014年以降から行われています。それと言うのも、米国製兵器の購入額が急拡大するにつれて、ローン残高も急増したことが背景にありました。「兵器ローンの支払いをそのまま当初予算に盛り込むと、新たな装備品購入などの自由枠が縮小する」ため、補正予算に振り分けることで、さらに兵器購入の枠を確保しようという目論見です。
 予算委員会のツイートに見られるグラフのピンクの部分はローンの額で5兆3千億円、すでに単年度予算を超えています。そこに持ってきて、アメリカは相模原にミサイル新司令部を作ったよ、と日本政府に通知したようで、早くも防衛費負担増の懸念が上がっています。
 社会保障費をがっつり削って、消費税を奪っておいて、ツケで巨額の兵器を買ってよいなどと国民は許可した覚えはないぞ。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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<税を追う>護衛艦や潜水艦 兵器予算を補正で穴埋め
引用元)
護衛艦や潜水艦を建造するための防衛省の予算要求を巡り、財務省の査定で本予算(当初予算)に盛り込まれなかった分が、そのまま補正予算に計上されているケースのあることが本紙の調べで分かった。
二〇一三年度以降の六件の艦船建造費で、本予算と補正の合計額が防衛省の要求額とぴたり一致した
当初予算の不足分を補正予算で補填(ほてん)している格好だ。

補正予算は本来、自然災害や不況対策として組まれるもので、補正の趣旨から外れているとの指摘が出ている。
(中略)
 補正予算の理由を防衛省は「装備品を早期に整備するために前倒しした」と説明するが、艦船の建造で完成時期が早まったケースはなかった。
受注企業の関係者も「建造工程はぎっちり決まっており、途中から早まる余地は基本的にはない」と話している。
(中略)
◆防衛費ありのまま示せ
 防衛省がここ数年、艦船の建造費を本予算と補正予算とに振り分けていた背景には、安倍政権で米国製兵器の導入が急拡大し、ローン(後年度負担)残高が急増していることがある
 財政法上、補正予算の要件は厳格ではない。年度当初からの事情変化や緊急性という名目があれば、あとは「政府の裁量」(財務省担当者)の枠内となる
(以下略)

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東電の最高責任者だった元会長、勝俣被告は巨大津波の予測は不可能だったと無罪を主張 〜 部下や幹部の証言と食い違う:福島ではRI療法の施設が新設され予約でいっぱい

 福島第一原発事故への、東京電力の旧経営陣3人の責任を追求する裁判が行われています。
30日、最高責任者である元会長の勝俣恒久被告は、それまでの2人の元副社長同様、巨大津波が襲来するという社内の試算について「知らない」「聞いていない」「信頼性を認められない」などと振り返り、大津波は予測不可能だったと無罪を主張しました。
しかし、試算を3人に報告した社員らは当時「対策を取り入れざるを得ない」状況だったと認識しており「対策の保留は予想外の結論だった」と食い違いを見せています。また元幹部は「3人の出席した幹部会議では対策が一旦了承された」とも供述しています。
 さらに、勝俣被告に対する「原発の安全確保は最高責任者の義務ではないか」という当然の指摘にも、現場のことには決定権がなかったと逃れ、故吉田所長に全責任があるかのような主張をしています。
 裁判を傍聴されたジャーナリストの木野龍逸氏は、ニュース報道では見えてこない証言の食い違いをツイートされ、3人の被告ら上層部が全く事故に対する責任を感じていない、これでは原因究明も被害者救済も進まないと厳しく指摘しています。
 「続きはこちらから」以降では、子供の甲状腺異常が隠しおおせなくなっている現状が窺える記事です。
RI治療の専用病室では国内最大の施設が福島県立医科大学に完成しており、予約で一杯だそうです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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東電 勝俣元会長「津波予測できず」原発事故裁判
引用元)
福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、当時、経営の最高責任者だった勝俣恒久元会長への被告人質問が行われ、事故が起きる2年前に巨大な津波が押し寄せることを認識できたとする指摘について、勝俣元会長は「安全対策に疑義をはさむ状況ではなかった」と述べて、津波の到達は予測できなかったと改めて主張しました

東京電力の元会長の勝俣恒久 被告(78)、元副社長の武黒一郎 被告(72)、元副社長の武藤栄 被告(68)の旧経営陣3人は、原発事故をめぐって検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています
(中略)
このあと、検察官役の指定弁護士から原発の安全を確保する義務は最終的に最高経営層にあるのではないかと指摘されると、勝俣元会長は「一義的には立地本部でやっていくことが重要だと考えます」などと述べ、業務上の決定権限がなかったという考えを繰り返し示しました
(以下略)
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配信元)





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石井国交相が「辺野古埋め立て」承認撤回の効力を停止する決定 〜 法治国家と地方自治を破壊しているのは安倍凶悪政権

 30日、辺野古の埋立承認撤回に対する防衛省の不服申立について、野党合同ヒアリングが予定されていました。
 ところがその日の朝、石井国交相が、これ見よがしに「撤回の効力停止」を決めたと発表したことで、ヒアリングは急遽、抗議の場となり、上京していた謝花沖縄県副知事は「翁長知事が命がけでやったものをこのようにいとも簡単に」と声を詰まらせたそうです。
 NHKでは相変わらずあべぴょんの「法治国家として必要な法的手続」「沖縄のみなさまの心に寄り添い」と虫酸の走る答弁だけを流しますが、今回の法的手続が法治国家を破壊するデタラメであることは、あべぴょん一味以外には常識です。行政法研究者110名が今回の「日本政府による行政不服審査制度の乱用を憂う」とする声明を発表し「このような申立は違法行為に他ならない」「国交相には第三者性、中立性、公平性を期待しえない」とバッサリ、胸のすくような解説をしています。田中龍作ジャーナルでも、国交省の官僚たちは自分たちの論理破綻を重々承知しているとあります。ヤクザになりきって地方自治と法治国家を潰しにきているわけですね。
 防衛省はすぐにも埋立工事再開の命令を出すと見られています。
玉城知事は、政府の対応を「自作自演の極めて不当な決定」と厳しく批判し、国と地方の争いを調停する「国地方係争処理委員会」への審査を検討する方針です。
日本中も、この凶悪な見せしめの行方を注視しています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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政府、辺野古埋め立て再開へ デニー知事誕生から1ヵ月後
引用元)
翁長前知事が命と引き換えに表明した「辺野古埋め立て承認の撤回」。石井啓一国交相はけさ、承認撤回の効力を停止する決定を下した。決定を受け、防衛省は明日にも埋め立て工事の再開命令を出す

 上京中の謝花喜一郎・沖縄県副知事は、執行停止の決定を都内のホテルで知った。野党合同ヒアリングに出席した謝花副知事は、声を詰まらせ目を充血させながら窮状を訴えた

 「翁長知事が本当に命がけでやったものを、このようにいとも簡単に数ページで、決定がなされることに、沖縄県民は本当に怒っております」。

 石井国交相の決定通知書は紙切れ4枚。破綻した論理が書き連ねられているだけだ。一方、予想されていた執行停止に対する沖縄県の意見書は250ページにも及ぶ

 執行停止は行政不服審査請求として防衛省が国交省に求めていた。政府(防衛省)の申請を政府(国交省)が認めるという茶番だ

 「沖縄県だけでなく他の自治体がやった場合、また国は同じようにするのでしょうか? 国の政策と異なることを地方自治体が行った場合に行政不服審査法を使うというのであれば、地方自治というのは絶対にありえないと思います」・・・謝花副知事の訴えは事態の深刻さを物語っていた。

官僚たちは自らの言説が破綻していることを重々承知のはずだ。「間違っている」などと正直に言おうものなら首が飛ぶ。

(以下略)


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