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[ちきゅう座] お金は足りている。足りないのは愛と連帯 〜 原発事故避難者訴訟の判決は勝訴なのか

 避難指示を受けた福島県南相馬市小高区などの住民が、東電を相手に110億円の賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所は東京電力に約11億円の支払いを命じました。
各報道では、住民側勝訴であるかのように11億円の文字が踊り、中には「一人当たり300万円もの増額」「住民から喜びの声」と伝えるものもありました。
 原告側の請求は、一人当たり1000万円の「ふるさと喪失慰謝料」と、月10万円の「避難生活の慰謝料」を月28万円に増額するよう求める内容でした。
そしてそれに対する判決は、二つの慰謝料を一括し、東電に対し一人当たり330万円の支払いを命じたもので、総額は、請求額の約10分の1にとどまっています。住民側原告団長は判決に疑問を呈し、また原告側弁護士は「一部勝訴、言い換えれば、大部分敗訴」と事実上の敗訴の認識です。
こうした歪みを報道してくれたのは毎日新聞でした。
住み慣れた土地を奪われた賠償額は、元々の1000万円の請求額ですら少な過ぎると思われますが、それが330万円で良しとする司法は、どこを向いて判断したのかと思います。

 国は、避難者にお金を使うつもりはない、それをハッキリ指摘するのは、ふくしま集団疎開裁判に関わられた柳原敏夫弁護士です。お金はある、それを国民のために使う愛がないことをいくつもの事例で語られます。福島を放置したままの五輪開催もその延長でしょう。
 柳原氏は、なんとも歯がゆい思いをする読者に対し、行政主導型の救済ではなく、市民主導型の公共事業を提案しておられます。これまで日本で、世界で実現させてきた「連帯の愛」の事例を紹介されていますので、転載元でご覧ください。「復興は可能だ!」と元気になります。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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原発事故避難者訴訟
東電に11億円の賠償命令 東京地裁
引用元)
東京電力福島第1原発事故に伴い、長期の避難生活を強いられたとして、福島県南相馬市小高区(おだかく)の元住民ら321人が東電を相手に「ふるさと喪失慰謝料」など総額約110億円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、請求の一部を認め、東電に総額約11億円の支払いを命じた。水野有子裁判長は「原告は、憲法が保障する居住・移転の自由や人格権を侵害された」と述べた。
(中略)
南相馬元住民「判決に疑問」
(中略)
 原告団長の江井績(えねい・いさお)さん(76)は会見で「(中略) 歴史、伝統、文化を奪われ、後継ぎとなる若者もいない。働き先となる企業もない。小高が二度と元に戻らない被害をもっと(社会に)知ってほしい」と訴えた。

 また原告側代理人の弘中惇一郎弁護士は「一部勝訴だが、言い換えれば、大部分敗訴。判決は『生活基盤の崩壊』などと言及したが、慰謝料は極めて控えめに評価した。今後検討するが、控訴する可能性が高い」と述べた。【近松仁太郎】
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お金は足りている。足りないのは愛と連帯
転載元)
<柳原敏夫(やなぎはらとしお):弁護士(ふくしま集団疎開裁判・元弁護団長)>

(前略)
《国の基準が20ミリシーベルトという事が出された以上は、 我々日本国民は日本国政府の指示に従う必要がある。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。》
と発言したのは長崎大学の山下俊一教授です。

この発言に代表されるように、311直後から、財政負担が大変だという理由でチェルノブイリ法の制定を批判する声があがっていました。

しかし、本当に日本という国はお金が足りないのでしょうか。
なぜなら、日本政府は、他方で、311以後、

1、2012年の欧州債務危機に際しては、真っ先にIMFに600億ドル(約5兆円)の拠出を表明しました(4月17日、安住財務大臣)。よその国の問題解決のためにそれほどお金を出す用意があるのだから、自分の国で、放射能汚染の中に住む子どもたちの危機に際して、子どもたちの避難のために出すお金がないなんて言えません。

また、山下氏は《日本という国が崩壊しないよう導きたい。》と言うのなら、安住財務相のこの発言に対してこそ真っ先に異議申立すべきです。しかし、彼はそんな異議申立はしていません。

2、2013年度の復興予算7兆5089億円のうち、35.3%の2兆6523億円が執行されなかったと復興庁が発表しました(2014年7月31日日経新聞)。なかでも、福島原発事故からの復興・再生予算は53%が使われませんでした。

3、誰ひとり住まない無人島(竹島・尖閣諸島)の救済には熱心に取り組むけれど、原発事故に何の責任もない、正真正銘の被害者である子ども達がたくさん住む福島については子どもたちを救おうともしなかった。いったい国を守るって、何なのでしょうか。

つまり、311直後に誰かが言った通り、日本政府も、
《お金は足りている。足りないのは愛》なのです。


しかも、その「足りない愛」は、ただの愛情ではなく、人々が被害から自立できるような《連帯の愛》です。

なぜなら、避難の権利の実現は、お金の給付だけで解決するような単純な取組みではないからです。この救済のプロジェクトは、単に箱物を作るといったハードの問題ではなく、汚染地から避難する人々の、避難先での新しい人間関係、新しい生活、新しい仕事、新しい雇用を作り出していく、そのためには、避難先の地域創生の取組みとセットとなって初めて、成し遂げることができる、壮大な再生の公共事業だからです。

そのためには、これまでの行政主導型の公共事業では実現不可能であり、そこに様々な形で住民、市民が協力、支援、応援をするという、新しいスタイルの市民主導型の公共事業が求められます。
つまり、原発事故という国難に対し、本当の意味で文字通り、オールジャパンで市民が参加して、避難者と一緒になって避難の権利の実現プロジェクトを遂行していく必要があります。

これが「オールジャパン」「公共事業」の再定義です。

これは決して夢物語ではありません。日本でも世界でも既に実例が存在するからです。
(中略)


(以下略)

[長周新聞]「自伐型の林業に活路」〜 林業に最適な環境の日本でなぜ衰退するのか

 日本の農業については、折々重要な記事を取り上げていますが、さて、林業となると珍しい。
あまり馴染みのない林業ですが、実は豪雨による土砂崩れへの防災や保水など環境にとても深く関わっています。国土の7割が森林という恵まれた環境の日本は、世界一の林業が可能であるにもかかわらず、実態は衰退産業の代名詞になっているそうです。一方、日本よりもはるかに森林面積の少ないドイツでは、生産額も就業者数も自動車産業よりも多いといいます。有望な産業として確立しているのです。
 なぜ日本の林業は衰退しているのか、長周新聞の記事によると、日本の林業政策である「皆伐施業」という大規模な手法が山林所有者の経営を難しくさせ、山林崩壊や土砂災害をひき起こす原因となっているそうです。
 このような現行林業とは反対に、「自伐型林業」という手法があり、こちらはコストがかからず、山林所有、経営、施業を分けず、森林の環境にも良好、人間がこまめに山に入ることのメリットが多くあるそうです。高知県をはじめ、全国的にも自伐型林業に挑戦する若者が増えているとか。
森林と共生しながら、経営的にも安定した取り組みができれば、それは次第に農業へも、人々の自然の暮らしにも良い影響を及ぼしそうです。
 長周新聞の記事から、林業は日本の未来を担う大切な事業だと思えてきました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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「自伐型の林業に活路」 高知の林業推進協会代表が下関で講演
転載元)
最適な環境の日本でなぜ衰退するのか
ドイツの生産額は日本の10倍


自伐型林業講演会(28日、下関市菊川町)



 (中略)下関市が主催する自伐型林業講演会「山林所有者や地域自ら森林経営・施業を行う自立自営の林業とは」があった。高知県いの町在住のNPO法人・自伐型林業推進協会の中嶋建造代表理事が基調講演をおこない、市内外の森林所有者や林業関係者、地域住民など約90人が参加した。
(中略)
 中嶋氏は、日本は国土の7割を森林が占め、温帯で四季があり、雨が多いという樹木にとっては最適な環境で、スギ・ヒノキが大量にあるほか、広葉樹のケヤキやミズナラ、クリなど質・量ともに世界一だとのべ、「世界一の林業が展開されておかしくない日本で、林業が衰退産業の代名詞のようになっている」と現状への疑問をのべた。

 現行の林業を見ると山林所有者は赤字であり、国有林は約3兆円の赤字を積み上げ、県公林で破綻したところも多い。森林組合も経営の7割を補助金で補わなければ成り立たない現実がある。しかし国の政策が根本療法へと向かわず、大規模な事業体にのみ補助金を倍増するなど対症療法的政策にとどまっていることを指摘。

その結果、林業生産額は約2000億円(日本のGDPの0・1%以下)と、補助金額(年間3000億円)を下回る産業となり、就業者はピーク時の10分の1まで減少しているとのべた。

  日本の四割の森林面積であるドイツは、自然環境は日本に劣るにもかかわらず、生産量は5倍、生産額は10倍で、就業者数は120万人と自動車産業より多いことも紹介した。

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名護市長選、稲嶺氏破れる 〜 自公なりふり構わぬ選挙戦術

 4日投票の行われた沖縄県名護市長選挙は、自公維の押す渡具知氏が、現職の稲嶺氏を3,458票差で破り当選しました。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設是非が最大の争点でしたが、市長が移設容認派となることから政府の進める辺野古移設が加速しそうです。
 当初、「トリプルスコアで稲嶺氏」が磐石とみられていた選挙戦ですが、官邸、自民党は、この市長選挙にヒト・モノ・カネを総力で投入し、辺野古移設の争点を避ける、人気議員を現地入りさせる、など徹底的な選挙戦術を展開したようです。地元の方によれば「今回の選挙は、もはや地方選挙ではなかった。とぐち陣営には、かなり優秀な選挙プランナーの影を感じた」と言います。辺野古反対の稲嶺市長を降ろすことで、安倍政権にとっての足かせである翁長知事の「オール沖縄」をも崩壊させるという必死の狙いが背景にありました。
 稲嶺氏落選の分析は、こうした官邸のテコ入れ、SNSに影響される若年層の動向など様々になされています。しかし、それらは開票作業が正当であることを前提としなければ説得力に欠けます。今回特筆すべきは、期日前投票が有権者数の44%という異例の数字であったこと、何ゆえか開票場には記者クラブしか入れないことなど、毎度のことながら釈然としない状況がつきまといます。一番下の記事のような推測を笑えるほどの透明性を見せて欲しい、選挙管理委員会。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)






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山本太郎 議員 参議院予算委員会質疑(2018.2.1)文字起こし

 2月1日の参議院予算委員会で、山本太郎議員が質問に立ちました。わずか8分の持ち時間ながらも鋭く安倍総理を追求しました。与党側のヤジ要員の凄まじい口撃のみならず、公平であるべき河村委員長(山口県選出)の質問妨害も露骨な中、ひるむことなく安倍総理に国民の怒りを示してくれました。
あべぴょんに都合の悪い質問が出ると、すかさず審議を止めるものですから、せめて拡散協力に文字起こしをしました。
 まず、籠池証言と安倍総理の証言の食い違いを示し、昭恵夫人の証人喚問を要求します。
続いて、「口封じのために」不当に勾留され、非人道的な扱いを受け続ける籠池夫妻について、せめて国際的な最低基準のマンデラ・ルールズに従って処遇すべきと追求。日本の司法の闇を国会の場で明らかにしました。
 さらに、あべぴょんお得意のアベノミクスの実態をデータで示し、好景気など一般国民には有りえないと迫ります。山本太郎議員は、デフレ脱却のための妥当な施策も示しました。
そして最後に、安倍政権の闇を示す労働条件改悪への批判で締めくくりました。
それにしても「個別の事案だから答えられない」という答弁はなんなのでしょう。国会の調査権とは、その程度のものかしら。
 ひとつひとつ言葉を追うと、山本太郎議員の人間らしい実ある質問とは対照的に、与党側の空嘘でずるい言葉に狂気を感じます。 
 公の国会で、ここまで言論弾圧を隠そうとしない自民党には、恥という言葉はないのか。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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山本太郎 議員 予算委員会質疑(2018.2.1)
配信元)


書き起こし
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森友問題・籠池氏の不当拘禁〜マンデラ・ルールズを遵守しろ



山本太郎(以下、や):自由党共同代表の山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表してご質問いたします。パネル配布資料両方です。①です総理、この資料①の男性、ご存知ですか。であれば、お名前を教えていただきたいんですが。
安倍総理(以下、あ):あの、テレビのニュース等で知っております。
や:お名前はご存知ないと。
あ:あの、お、つまりテレビ等からですね、名前も知っております。
や:お名前、下さい。

河村委員長(以下、い):も一回、もう一回質問して下さい。趣旨がわからない。
や:この方の名前をご存知だったら教えて下さいと質問しました。どうぞ。
あ:名前は、籠池さん、、だと思います。
や:はい、昨年3月23日に開かれた証人喚問、その後、誰かの発言が衆参院の中で、偽証罪に問われるってこと、ありましたか。
コウハラ参議院事務総長:お答えいたします。偽証罪に問われたことはございません。籠池さんですよね。
や:聞いたんですけど、前に開かれた証人喚問、あったじゃないですか。その後、誰かの発言が衆参院で偽証罪に問われるようなことがあったんですかということをお聞きしています。
コウハラ:籠池証人につきましては、予算委員会でご承知されましたが、その後予算委員会の理事会等で偽証罪の告発等の御協議があったとは承知しておりません。
ヤオイタ衆議院委員部長:衆議院の状況につきましてお答えいたします。平成29年11月28日の衆議院予算委員会におきまして希望の党、無所属クラブの後藤祐一委員から籠池証人について告発するかしないか委員会での議論を求める発言がありまして、河村委員長から「理事間で協議する」旨を発言しております。その後の協議状況につきましては事務方として承知しておりません。

や:まあ、先の証人喚問において、偽証罪に問われるようなことはなかったってことですよね、結局ね。はい、つまり籠池証人の発言にも虚偽は無かったと言えるんじゃないかなと思うんですよ。資料の2、籠池さんの証人喚問でのご発言、その中で安倍総理と奥様、当事者として登場する部分にラインが引いてあるんですけども、総理、当事者として赤線部分をお読み願えますか。

い:ちょっと質問の中身がね、よく分かりづらいんで、はっきりと落ち着いて言って下さい。もう一回、答弁者が答弁しにくいですから。
や:8分しかない中でゆっくり喋れって、無理な話ですよ。はい、もう一回言いますね。赤線が引いてあります、資料の2。あなたのことが書かれてるんです。代読して下さい。
い:え?いや、ちょっと、、質問の趣旨がはっきりしない、、。速記を止めて下さい。
・・・・
い:山本君、質問につきましては、落ち着いてゆっくりと、分かりやすくお願いいたしますんで、どうぞよろしくお願いします。中身がよく分からないと答弁をしにくいんですから。
や:・・・ちょっと待って下さい。(振り返って、ヤジに抗議、委員長に対し)真後ろから質問妨害するのをやめさせて下さいよ。
い:(山本議員の抗議を遮るように)はい、静粛に、山本君。ご静粛にして下さい。
や:資料の2、議事録です。じゃあ、事務総長、赤線部分を読んでいただいて結構です。読んでいただけますか、お願いします。
・・・・
い:速記を止めて下さい。
・・・・
い:山本太郎君。
や:事務総長、資料の2、議事録の中身、赤線引いてあるところを読んでもらえますか。
い:速記を止めて下さい。
・・・・

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