Bifidobacterium adolescentis
Author: Y-tambe
皮膚の保湿性改善効果
皮膚の機能と腸内環境は密接に関わっています。例えば、
腸内の悪玉菌が増えすぎると有害物質(フェノール類等)がたくさん腸内へ放出されます。それが腸管から吸収され
表皮の細胞へ悪影響を与え、皮膚の保湿機能を低下させることが分かっています。
ある
オリゴ糖含有のビフィズス菌発酵乳(※)を摂取すると、腸内の悪玉菌増殖が抑えられ血中のフェノール濃度が減少することで、
皮膚の保湿機能が向上することが報告されています。また、乾燥肌の40〜60歳の女性を対象とした試験では、ある乳酸菌で作った発酵乳の摂取により
頬の水分量が増加傾向を示し、前腕の水分量が有意に増加したと報告されています。
アトピー性皮膚炎の改善効果
こちらはアレルギーの改善効果で詳しく書く予定ですが、アトピー性皮膚炎にも乳酸菌やビフィズス菌が効果を示すことが分かっています。腸内環境と免疫は密接な関わりがあるためです。簡単に言うと、
乳酸菌やビフィズス菌には免疫調節作用があり、白血球のバランスを改善することによりアレルギー(アトピー性皮膚炎、花粉症、鼻炎等)に効果を発揮します。
虫歯菌や歯周病菌の抑制と口臭予防
次に口の中での活躍を見てみましょう。虫歯菌で有名なミュータンス菌のように乳酸菌は酸やネバネバ物質(多糖類)を生産するためう蝕(虫歯)のリスクとなるという報告がありますが、逆に
虫歯の原因菌をやっつけてくれる乳酸菌もいます。また、歯周病はう蝕と並ぶ代表的な口腔疾患で全身の疾患(動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病など)にも関与していることが分かっていますが、
乳酸菌の中には歯周病の原因菌であるジンジバリス菌やインターメディア菌
に対する強い殺菌効果を有し、かつ過剰な酸の産生を行わないものが存在しています。
そのような
乳酸菌を継続摂取すると、実際に歯周病菌を減少させる効果があることがヒト臨床試験でも明らかにされています。また、上記の歯周病菌は口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタン等)を生産するため、口臭原因菌でもありますが、その乳酸菌の服用により口臭を抑える効果があることも明らかにされています。
現在、
口腔内の微生物が全身の健康に影響を与えていることが明らかとなっています。
また、各器官はお互いに情報交換をしていることが明らかとなってきており、現代医学(西洋医学)も段々東洋医学の思想に近づいてきているように思えます。
健康はホリスティック(全体的)に考えないといけないのだと思います。
ピロリ菌の抑制
口から中に入っていき、胃での活躍を見てみましょう。胃の中の菌で一番に思いつくのは、ピロリ菌だと思います。ピロリ菌は、胃がんや胃潰瘍の原因菌とされており、実際に除菌により胃がんや胃潰瘍のリスクが減少することが分かっています。現在、ピロリ菌の除菌には抗生物質が使用されていますが耐性菌の増加が懸念されていることから、抗生物質を補完あるいは代替するものとしてプロバイオティクスの利用が考えられています。
「リスクと戦う乳酸菌」で有名なある乳酸菌は、低いpHでも増殖し、ヒト胃上皮細胞に高い付着性を示し、さらにピロリ菌の増殖抑制効果を持つ乳酸菌です。本菌では数多くの臨床試験が行われており、本菌を用いて作製されたヨーグルトの摂取後、プラセボヨーグルトと比較して有意な
胃内ピロリ菌の減少、胃粘膜炎症の改善などが確認されています。また、
除菌療法との併用試験も行われており、除菌療法単独群に比べ併用群(ヨーグルトを除菌療法開始3週間前から終了まで計4週間投与)
で除菌率が有意に上昇することが明らかにされています。
余談ですが、韓国ではピロリ菌対策として、ピロリ菌のウレアーゼに対する卵黄抗体(親鶏に抗原を注射すると卵に抗体が移行する)が食品素材としてヨーグルト等に添加され販売されています。日本でも販売されていた時があったようですが、今調べると取り扱い中止となっているので現在は販売されていないのかもしれません。
ただ、
こちらのような記事が2017年4月に出ていますので、今後ピロリ菌対策として卵黄抗体入りの商品が出てくるかもしれません。ウレアーゼは、胃粘液との接着に関与するタンパク質であり、抗体によりブロックすることにより胃内でのピロリ菌の定着を減らすことができることが確認されています。
しかし、
ピロリ菌除菌により逆流性食道炎や食道がんが増えるという報告(
こちらを参照)
もあるため、過剰な除菌には疑問符が打たれます。ヨーグルトなどで適度に大人しくしてもらうぐらいが良いのかもしれません。
あとがき
今回、特定の菌名は伏せましたが調べればすぐ分かると思います。
人でも個人個人能力が違うように菌も個菌個菌(こんな言い方はしません笑)能力が異なります。人で言う個人名に相当するものを菌株名と呼びます。ヨーグルト等は菌株名(の一部)を商品名にしている場合も多く見られます。大手企業は自社の膨大な保有菌から機能に応じて選び抜かれた優秀な菌株を使用しています。
ヨーグルトは全て同じと思われている方も多いですが、実は使用している菌によって特徴が違うのです。
用途や自分の腸内フローラに応じて、自分に合ったヨーグルトを探してみてください。免疫力アップなど機能が実感し辛いものは
「快便」を指標にされると良いと思います。
Writer
地球に優しい方の微生物学者
主に自然科学関連の記事へのコメントと「きっと役立つ乳酸菌学 〜メリーベのために〜」という記事を寄稿しています(滞りがちでスミマセン)。大学で微生物(乳酸菌)の機能性研究を行っています。最新の知見もご紹介しながら、魅惑の菌ワールドに皆さんをお連れしたいと思います。
何故か「う○こ」担当みたいになっていますが、非常に不本意です(※)!!専門は乳酸菌ですので、汚くないスマートな記事をお届け致します。できるだけ専門用語は避け、解説をしながら分かりやすくお伝えできるように頑張ります。
※私は8種体癖です(笑)
『東日本大震災の後、福島の飯館村においては飯館電力が立ち上がり、会津などの被災地でも会津電力が立ち上がり、風力・太陽光・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーを使った新電力が計画されましたが、東北電力の送電線には空きがないという理由でつないでもらえない、もしくは新たな送電線の増強に莫大な費用が掛かると言われ、事業を断念せざるを得ない事態となってしまっています。
しかし京都大学が検証したところ驚くべきことが判明しました。送電線には十分な空き容量が有ったのです。それを東北電力に指摘したところ、なんと、それは原発の再稼働用に空けているというのです。
また、送電線増強の費用は電力会社の言い値ですが、妥当かどうかもわかりません。山口県のNPOが手がける太陽光発電では、送電線の増強費用が4億5千万円かかると中国電力に言われましたが、山口市が介在して交渉すると70万円に下がったとのこと。なぜ方針が変わったのかと訊ねると、中国電力からは"個別の案件には答えられない"とまるで政治家の言い逃れのような回答が返ってきたのです。
しかも、電気料金の内訳表をみると「再生可能エネルギー発電促進賦課金」というのがありますが、これは新電力から電気を買い取る料金は、実はエンドユーザーが支払っているとのことです。そしてその金額は各家庭で支払う全体料金のなんとおよそ10%ほどをも占めています。ですから電力会社は新電力への送電線の供給に関して、前向きな相応の社会的責任があるはずなのです。』(報道ステーション「再生エネ普及を阻む大手電力会社の“壁”」より)
こうしたことからもわかるように、電力会社というところは、原発をなんとか再稼働させようとしていて、再生可能エネルギーはそれを邪魔するものくらいにおもっているようです。
自然にやさしい再生可能エネルギーへのさまざまな試みの前に、今の電力会社は障壁となって立ちはだかっているのです。 電力を国民に供給している現在の電力会社という組織は、国民により良いエネルギーを供給する!という公的な意識で国民に寄り添っているわけではないのです。会社組織としての利潤、そして原発の利権のために動いているとしかおもえません。ですから、再生可能エネルギーが普及すると困るのでしょう。
種子や水道も民営化されてしまったら同様の事態が予測されます。インフラ等においては、安心、安全に安定供給するというのが運営目的といえますが、その目的が利潤追求となってはなりません。国民の税金で、国民のために、国民により一任された国営の組織が運営すべきなのです。この基本に立ち返れば、電力会社が民営であることは危険なことであるともいえましょう。現に日本のエネルギー政策は原発利権でがんじがらめの様相です。いわゆる民営である限り、野心が暴走すると、そして私欲にまみれた政権とズブズブの関係になってしまうと、手がつけられなくなってしまいます。
こうした事態を正し根本的な理念に立ち返る政治家、そして政権がのぞまれるところです。
お隣の中国では習近平主席が、2050年までに再生可能エネルギーをなんと国内電力の8割にまで拡大させていくことを宣言しました!お見事です。日本も高らかに宣言してほしいものです。
そもそも国のインフラにおいて利潤追求を実質的な目的にする!というのは、支配者が奴隷から搾取するかつてのあくどい植民地主義とまるで同じです。現代の多国籍企業によるグローバリズムも然り、いつまでそんな優生思想にしがみついているのでしょう。
地球人はもうそろそろ"地球と共生する"ローカリゼーションを、そして本来の"地球と共生した"グローバリゼーションをのぞんでいるのではないでしょうか。