注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
◆ヨガの基本ポーズ[27] 座った前屈のポーズ
1. 脚を伸ばして座り、つま先をつかみます。できるだけ脚を真っ直ぐに伸ばしてつま先をつかむようにしますが、はじめは膝を曲げてもOKです。背筋を伸ばしましょう。
2. 背筋を伸ばした上体を意識して、息を吐きながら前屈します。お腹を太ももにくっつけるような感じです。このポーズを5呼吸程度キープします。
これが「座った前屈のポーズ」です。太ももの筋肉を伸ばし、ストレッチさせることで自律神経を整えます。骨盤の歪みを矯正し、疲労回復効果も期待できます。
(以下略)
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そうした中で、どうもヨーガや筋トレの講師の方の解説などが、“違うのではないか?”と思うことが少なからず出てきました。今回は、その中で「座った前屈のポーズ」と「腹筋運動」を取り上げてみました。
「座った前屈のポーズ」は、“太ももの筋肉を伸ばし、ストレッチさせる”とありますが、アーユルヴェーダの解説の38回目の「関節の運動」の一覧表をご覧ください。
股関節の伸展(後ろに蹴る動作)の主動筋は臀筋と大腿屈筋群(ハムストリング)ですが、どちらも「呼気筋」です。また、大腿屈筋群(ハムストリング)は、足の膝関節の屈曲の主動筋でもあります。これらの筋肉は呼気で収縮し、吸気で弛緩します。
こうしたことから、「座った前屈のポーズ」は、“息を吸いながら前屈する”のが正しい呼吸の合わせ方になります。多くの方が、“息を吐きながら筋肉を弛める”ものだと信じていることから、こうした誤りが出てくるのですが、筋肉が「呼気筋」と「吸気筋」に分かれることを知っていれば、ポーズに合わせた正しい呼吸の合わせ方が理解できるようになります。
このことは、シットアップと呼ばれる「昔ながらの腹筋運動」も同様です。“続きはこちらから”の記事をご覧になると、「昔ながらの腹筋運動は、ほとんど意味がない」と書かれています。“昔ながらの腹筋は股関節など、他の筋肉を使ってしまうことが多いため…効果的ではない”とあります。
「関節の運動」の一覧表の胸腰部の屈曲前屈の主動筋は、腹筋と側腹筋ですが、いずれも「呼気筋」です。従って、腹筋に力を入れる際には、呼気で行うのが自然だという事になります。しかし、シットアップのように、上体を起こし両膝に近づける時は、股関節の屈曲の際の主動筋である腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)を使っているのです。
この部分は、3月5日の記事で紹介した「超簡単『解ればなくなる ぎっくり腰』 /現役医師の15分動画」の9分13秒~11分13秒をご覧になるとよく理解できます。
動画の中で、“腹筋を鍛えるための運動として有名な腹筋運動ですが、本当の主役は大腰筋なのです。腹筋は背中を丸くするだけのわき役です(10分53秒)”と言っています。
その腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)は「吸気筋」です。従って、シットアップの場合の呼吸の仕方は、「1.息を吐きながらヘソを見るように背中を丸める。2.息を吸いながら上体を起こし両膝に近づける。3.息を吐きながら上体を戻す。4.息を吸いながら背中を伸ばす」という複雑なものになりそうです。これでは、筋トレとして使えないでしょう。
「昔ながらの腹筋運動」を行うことで、腰痛になる人が出て来ることもあって、今では腹筋を鍛えるのは、記事の最後に紹介したクランチが主流のようです。