
1人にしてはいけない
「この子は抱っこしないと寝ません。だから1人で寝る練習をしています」と、2ヶ月の赤ちゃんを持ったママが言いました。「どうやって1人で寝せているの?」と聞くと「夜の8時になったら隣の部屋を暗くして1人で寝せます。泣いても行きません。諦めて寝てくれるように訓練しています」というのです。
このママだけなのかと思っていたら、他のママ達の口からも「ネントレしています。泣く赤ちゃんと根競べです」などなど。どうもネットで流行っているらしいのです。でも、そのママが「昨日、泣き声が変だから行ってみたら赤ちゃんの顔に毛布が被さって苦しそうにしていたのでびっくりしました。怖かったです」と報告してくれました。
いいタイミングだったので、赤ちゃんを1人にしてはいけない事と、事故は家庭内で起こる事をお話ししました。本当は赤ちゃんの健やかな成長を願っているママ。「知らなかった。聞いてよかった」と言ってくれました。
そんなママは目に見える湿疹にはとても敏感で、高い薬をネットで調べて取り寄せているようです。何とまあ、アンバランスな子育てですが、自分で一生懸命に考えて判断しているのでしょう。こんなママが大勢います。新米ママを1人にしてはいけないと痛感しています。
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これは喜ばしい事ですが、小児科の経営という意味では大打撃です。幸い我が家は借金がなく、家賃も払う必要がないので、どうにか回っている状態です。このままいくと倒産するところも増えるのではないでしょうか。
一方で、世の中は少子化が進み、子育て環境の変化に伴って子どもの姿が大きく変わってきました。ある意味、大人社会の経済中心の生活が子どもの成長に影響を与えています。特にコロナ禍で、家の中に籠っている子ども達。周囲から苦情が来るので、静かにしているように強いられて、その代わりにメディアを与えられています。
都会に住む、知り合いの3歳の女の子が、いきなり奇声を発するようになりました。暴力をふるったり、癇癪を起して手に負えません。困り果てた親は精神科を受診して薬を貰うようになったとか。これは決して病気ではなく、子どもが子どもらしくいる事を制限されたストレスの症状です。このような子がどのくらいいるのでしょう。
そんな子ども達の事がとても気になります。子どもの健やかな成長を支援するのが小児科です。今後、子どもが大人社会の犠牲者にならないためにも、小児科医の役割が大きく変わる必要があるのではないかと感じています。経営面ではますます赤字になりますが・・・。
今回はコロナ禍で家に籠りがちなママのために、子どもの家庭内事故について書きたいと思います。特に、新米ママ達は子どもがいる暮らしさえ想像できないまま赤ちゃんのお世話をしています。