注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
ロシアのサンクトペテルブルクで開催された第25回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)の全体会議で演説を行うロシアのウラジーミル・プーチン大統領。© Sputnik / Pavel Bednyakov
ロシアのプーチン大統領は金曜日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、クレムリンが「極めて重要」とする演説を行い、新しい権力の中心が出現し、一極的な世界秩序は戻ってこない、「植民地」的な考え方は失敗した、と語った。
1 古い世界秩序は風と共に去る
冷戦でアメリカが勝利を宣言したとき、アメリカ人は自分たちを「地上の神の使者」と位置づけ、神聖視すべき利益と義務を持たなかったと、プーチン大統領はSPIEFの聴衆に語った。その後、新しい権力の中心が出現し、自国のシステム、経済モデル、主権を守る権利を持つようになった。
このような「地政学、世界経済、技術分野、国際関係のシステム全体における真に革命的な地殻変動」は、「基本的で、極めて重要で、避けられないもの」だと、プーチンは述べた。「そして、激動する変化の時を待っていれば、物事が正常に戻り、すべてが以前のようになると考えるのは間違いである。そんなことはない」。
2 反ロシア制裁は西側諸国に裏目に出た
米国とその同盟国は、ウクライナ紛争をめぐるロシアへの「制裁」キャンペーンを開始したとき、ロシアの経済と社会を崩壊させ、弱体化させることを望んでいた。しかし、この制裁は、社会的、経済的問題を悪化させ、食料、電気、燃料のコストを引き上げ、西側諸国、特にヨーロッパでの生活の質に打撃を与えるという、作成者のブーメランとなった。
「EUは政治的主権を完全に失い、官僚的エリートは他人の曲に合わせて踊り、上から言われたことは何でも受け入れ、自国の国民と経済に害を与えている」とプーチンは言った。
EU市民は「現実から切り離され、常識に反した決定」の代償を払うことになる。制裁による直接の損失だけでも、1年で4000億ドルを超える可能性がある、と彼は付け加えた。
3 エネルギー価格とインフレは自業自得
西側諸国のエネルギー価格の高騰やインフレをロシアのせいにすること、つまりホワイトハウスが言うところの「プーチンの値上げ」は、「愚かさ」であり「読み書きのできない人たちのために作られた」ものだと、ロシア大統領は述べた。
「我々を責めないで、自分たちを責めなさい」と、プーチンは言った。
EUが「再生可能エネルギーを盲信」し、ロシアとの天然ガスの長期契約を放棄したことが、昨年のエネルギー価格の高騰を招いたと、ロシアの指導者は言う。一方、米国とEUは、何兆ドルものドルやユーロを印刷して、Covid-19の大流行に対処した。
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昨日のNHKニュースで、プーチン大統領の演説のことを知り、“おそらく勝利宣言だろう”と思ったのですが、RTの記事でそれを確認するとともに、想像以上の「極めて重要」な内容に驚きました。
プーチン大統領は、「新しい権力の中心が出現し、一極的な世界秩序は戻ってこない」と語ったのです。「新しい権力の中心」がアメリカからロシアへと変わったという意味に取るのが普通かも知れませんが、私は違うと思っています。
昨日の記事で、“ウクライナでの戦争と世界規模での「経済戦争」のいずれもが、ロシア側の勝利に終わりました。この結果は、私の直観では早くも7月1日に現れます。何が起こるのかはここでは触れませんが、いずれ映像配信にて明らかにします。”とコメントしたのは、まさにこの「新しい権力の中心」が7月1日に正式に発足するからです。
プーチン大統領は、「国際関係のシステム全体における真に革命的な地殻変動」は避けられないとし、“21世紀には、主権は部分的であってはいけない…ロシアが経済発展において守るべき原則は5つある。開放性、自由、社会的公正、インフラ、技術的主権である。”と言っています。
プーチン大統領の演説は、21世紀は各国の主権が尊重される多極化の世界になることを宣言したものです。