注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
ポンペオ米国務長官は18日、サウジアラビア石油施設への攻撃は「戦争行為」に当たるとの見方を示した。さらに、米国が欧州やアラブ諸国と連携体制を築くことを望んでいると表明した。ロイター通信が報じた。
サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談するため、同国ジッダに到着したポンペオ長官は「先例のない規模の攻撃」とし、「攻撃はサウジの領土内で発生し、サウジに対する直接的な戦争行為だ」と言明した。
14日発生したサウジア国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所への攻撃を巡っては、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が無人機で攻撃したと犯行声明を発表し、イランは関与を否定している。
しかしポンペオ長官は、攻撃がイエメン方面から仕掛けられていないことを示唆する情報があると指摘したほか、米情報当局は攻撃に使用された武器がフーシ派のものではないとほぼ確信していると述べた。
今月14日、サウジアラビア東部にある同国の石油会社の施設が無人機10機による攻撃を受けた。世界最大規模の石油施設が攻撃を受け、13カ所で火災が発生した。
最大の輸出大国であり、3大産油国の1つであるサウジアラビアは、同国の原油施設への攻撃の後、2分の1以上となる生産削減を行うことを表明した。サウジアラビアを指導部とするアラブ連合と戦うイエメンの反政府勢力「フーシ派」は、無人機を使用して彼らが攻撃を行ったと発表した。
米NBCニュースは18日水曜午前、「米軍の指揮官らは16日月曜の会議で、可能な選択肢として対イラン攻撃を提起したが、トランプ大統領は対外戦争でイランと衝突することには反対した」と報じました。
また、トランプ政権はイラン資産の凍結、同国石油施設への軍事攻撃、サイバー攻撃など多種多様なイランへの報復措置を検討中だとしています。
米ニュースメディア・ポリティコのインターネットサイトはこの報道を受けて、「トランプ大統領は、米国の対イラン戦争による政治・経済分野での影響を懸念している」と報じました。
ここ数日、米政府関係者は確固たる証拠を示すことなく、「サウジアラビアの石油施設をイエメンの無人機が攻撃した背後にはイランが存在する」と主張しています。
今月14日未明、イエメンの政府軍と義勇軍の無人機部隊が、サウジアラビアのサウジアラムコ所有の製油所2か所を、10機の無人機で攻撃し、サウジの産油サイクルに大規模な混乱が生じました。
サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、9月末までに生産量が通常に戻るという見通しを示した。
北海ブレント原油先物LCOc1は一時7%超値下がり。清算値は6.5%(4.47ドル)安の64.55ドル。米国原油の指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物CLc1は5.7%(3.56ドル)安の59.34ドル。
キャピタル・エコノミクスの商品(コモディティー)担当主任エコノミスト、キャロライン・ベイン氏は「年末時点で60ドルというと当社の原油見通しを急いで上方修正する必要はなさそうだが、今回の攻撃に関して、まだいくつか重大な疑問が残っており、値上がり余地はあると考えざるを得ない」と述べた。
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不可解なことに、フーシ派の攻撃は、サウジアラビアにあまり大きな被害を与えなかったようで、サウジアラビアでは、原油生産の回復が進んでいるとして、“9月末までに生産量が通常に戻る”と言うのです。
“続きはこちらから”の記事で、ジム・ストーン氏は、今回の攻撃は、“偽旗(やらせ)の可能性が高い”と言っていますが、私も同じように感じています。攻撃を受けた4つのタンクの画像がありますが、アメリカが言うように、ドローンやミサイルで攻撃して、このような小さな穴で済むとは思えません。
ジム・ストーン氏は“攻撃されたのは天然ガスのタンクのみ…本当に石油施設を破壊したいなら、原油やコンデンセートのタンクを狙ったはず”と言っています。ジム・ストーン氏は、イランとの戦争を始めたい米国、サウジアラビア、イスラエルが関与した偽旗攻撃だと見ているようです。
この点に関しては、私は違う見解です。今回のフーシ派の攻撃を事前に合意していた国を調べると、イランはもちろんですが、アメリカ、サウジアラビア、ロシアとなるのです。トランプ大統領とQグループは、この攻撃を事前に合意していたのです。これは完全にヤラセで、おそらく、下がりすぎている石油価格を上昇させるため、そして、イエメンでの戦争を終わらせるため、イランとの対話に持ち込み、最終的には、イスラエルを追い詰めるために行ったものだと思います。
もともと、石油価格の下落は、ロシアを滅ぼすためにサウジアラビアが仕掛けたものです。ロシアへの経済制裁もありロシアは窮地に陥りましたが、このことがきっかけで、ロシアと中国の連帯が生まれ、逆にサウジアラビア、アメリカは窮地に陥りました。
トランプ大統領は、G7にロシアを復帰させる提案をしています。こうしたことから考えると、今回の事件で、石油産出国を潤うようにし、イエメンに賠償金をきちんと支払えるようにしなければならないわけで、こうした一連の作戦を、フーシ派も理解した上で実行したということではないでしょうか。