■ラッパを吹く天使たち
新約聖書 (ヨハネの黙示録 第8章-第10章 概略)
小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。 そして、わたしは七人の天使が神の御前に立っているのを見た。 彼らには七つのラッパが与えられた。
また、別の天使が来て、手に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと、この天使に多くの香が渡された。 すべての聖なる者たちの祈りに添えて、玉座の前にある金の祭壇に献げるためである。
香の煙は、天使の手から、聖なる者たちの祈りと共に神の御前へ立ち上った。 それから、天使が香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地上へ投げつけると、雷、さまざまな音、稲妻、地震が起こった。
さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意をした。
1のラッパが鳴り響いた。
すると血と硫黄の混ざった火が地上に降り注ぎ、地の3分の1と、木の3分の1と、青草のすべてを焼いた。
2のラッパが鳴り響いた。
すると燃え盛る山のような塊が海に落ち、海の3分の1が血となり、海の生き物の3分の1と舟の3分の1が破壊された。
3のラッパが鳴り響いた。
すると火を噴く流星が川に落ちた。 流星はなぜか 『にがよもぎ』 という名で、水の3分の1が苦くなり、そのために大勢の人が死んだ。
4のラッパが鳴り響いた。
すると昼の3分の1が闇になった。 そこへ1羽の鷲が飛来し、声高に叫んだ。
「災いだ! 災いだ! 災いだ! この上にまだ、3人の天使がラッパを吹こうとしている!」
5のラッパが鳴り響いた。
すると天から1つの星が落ち、底なしの穴をあけた。 その穴からサソリの力をもつイナゴの大群が飛び出した。 イナゴたちは全員おそろいの冠をかぶり、不気味なことに人間の顔をしていた。 それらは免罪符をもたない人々に死の苦しみを与えた。
6のラッパが鳴り響いた。
すると天の祭壇から 「大ユーフラテス川のほとりに繋がれている4人の天使を解き放て!」 という声が上がった。 放たれた4人の天使は、2億の騎兵を従え、人間の3分の1を殲滅するために飛び立った。
このような終末的災いの渦中にありながら、それでも生き残った人間たちは、異教の偶像を拝むことをやめず、犯した罪を悔い改めようとはしなかった。
「もう時がない! 7のラッパが鳴り響くとき、神の計画が成就する!」
1人の天使が叫ぶ。 しかし神は慈悲深い。 これまでの災いが3分の1にとどまっていたのも、実は3分の2を残しておくことで、人々の改悛を促していたのだ。
「愚かな者たちに最後のチャンスを与えよう」 神は2人の預言者を地に遣わした。
2人の預言者にはさまざまな害を退ける強い力が授けらていたが、預言を終えたとたん、底なしの淵から現れた獣に殺されてしまった。
愚かな人間どもは、2人の遺体を都の広場にさらして楽しんだ。 彼らが気に食わないことばかり言ってまわるので、いまいましく思っていたためだ。
ところが4日目、2人の預言者は突然生き返り、雲に乗って天へ昇っていった。 その直後、大地が激震した。 一瞬にして都の10分の1が崩れ落ち、7000人の人々が命を落とした。
そしてついに7のラッパが鳴り響いた。
「この世は、我らの主とメシアの国になった。 神は未来永劫、これを統治する!」
神の御前で、座に着いていた二十四人の長老は、ひれ伏して神を礼拝し、こう言った。
「今おられ、かつておられた方、全能者である神、主よ、感謝いたします。 大いなる力を振るって統治されたからです。 異邦人たちは怒り狂い、あなたも怒りを現された。 死者の裁かれる時が来ました。
あなたの僕、預言者、聖なる者、御名を畏れる者には、小さな者にも大きな者にも報いをお与えになり、地を滅ぼす者どもを滅ぼされる時が来ました。」
そして、天にある神の神殿が開かれて、その神殿の中にある契約の箱が見え、稲妻、さまざまな音、雷、地震が起こり、大粒の雹が降った。