赤ちゃんの声なき声は端っこどころか無視
令和5年4月から子ども家庭庁が発足しました。やっと「子どもの権利を保障して、子どもまんなか社会をつくる」と言い出したのですが、本当にそうなのでしょうか?
世の中は一部の人の利権で動いているのを知れば知るほど、
「子ども端っこ社会」が見えないところで意図的に作られているのを感じます。
そんな矛盾に気づいても、どこからどう変えていけるのか?
私にできるのは私の身近な世界を大切に生きることしかありません。まずは気づくことから。
今回は、そんな私が気づいた「子ども端っこ社会」を書いてみたいと思います。
まず、生まれる前から出産を計画するようになりました。陣痛誘発剤を使っての無痛分娩が流行っています。「5万円加算で無痛分娩が受けられるよ」「隣の人が苦しんでいる声を聞きながら、こちらは申し訳ないほど楽だった」というママの体験談が拍車をかけます。
赤ちゃんは時が満ちて生まれるもの。母親はもう1人の命をわが体内に身ごもり、はぐくみながらその時を待ち、お産は赤ちゃんとの共同作業だと思っています。
でも、
今のママはそういう意識がないので家庭の都合、産科医の都合で分娩日を決める傾向にあります。核家族で上の子を見てくれる人がいない場合はパパの休みの日に産みたいのです。
10か月かけて準備をしてきた赤ちゃんの立場になったらどうなのでしょう?
赤ちゃんの声なき声は端っこどころか無視です。
そして、生まれてすぐ、ママはスマホで赤ちゃんの写真を撮り、みんなに知らせるのに夢中です。みんなから「おめでとう」のシャワーを浴びてほっとします。その間、赤ちゃんはママの安静のために眩しすぎる新生児室に連れていかれ、泣いて訴えてもかまってもらえません。
母乳で育てなければいけないと思う人も少なくなりました。入院している間は、まるでホテルのような部屋で高級レストランのような食事を楽しみます。産婦人科は安全にお産をするのが優先。その次は母体の回復と安静なので、赤ちゃんの立場に立っていません。入院中の4日間で母乳指導、赤ちゃんのお世話指導まで手が回らないのが現実です。
赤ちゃんとのかかわり方、成長過程を知らないママ
退院時に子育て支援情報を教えてもらっても頭に入りません。「ミルクの方が楽よ」と、試供品をたくさんもらいます。子育て関連のカタログや雑誌をもらい、それが子育てのスタンダードになっていきます。
赤ちゃんとのかかわり方、成長過程を知らないママ。それどころかママ自身が自分の心や体の変化に気づいているでしょうか?自分の微妙な気持ちを表現できるスキルがあるでしょうか?ありのままの自分を肯定して受け止め(自己肯定感)、「自分は子育てできるカモ」と思える自己有能感を持っているでしょうか?
これまでの判断基準が「他人からどう見られるか?」ではなかったか?自分で考えるのではなく、周りに同調してこなかったか?
それはママ個人の問題というより、教育の弊害が大きいように感じます。子どもの頃からずっと比較されて、正解を示され、間違えば「自己責任でしょ!」と言われてきたのですから。
でも、自分の赤ちゃんを授かって育てるという人生の大事業を、他人の価値観や商業ベースに乗せられてスタートしていいのでしょうか?
子育てが辛くなり「夜中に何度も起こされるので別の部屋に寝ています」「抱いても泣くからテレビのボリュームを上げて聞こえないようにします」「離乳食を食べないから罰として食事抜きです」というママ達。赤ちゃんは自分を諦めることを学びます。
大阪府泉大津市の南出賢一市長のメッセージです。要約できないほど、どの部分も大事で考え抜かれた政策だとホレボレしました。南出市長は、新型コロナ対策、新型コロナワクチン後遺症対策で誠実な市政をされていることは有名ですが、今回は「食と農」がテーマです。真に泉大津市のことを大事にすれば、いつしか日本全国も大事にされるという、有りそうで無かった政策でした。
泉大津市は長野県箕輪村と「農業連携協定」を締結されたそうです。箕輪村でできた特別栽培米「風の村米だより」というお米を仕入れ、それを「金芽米」加工をして白米よりも美味しく栄養価も高くして、学校給食にするのだそうです。泉大津の子供たち、よかったねー!
泉大津市は、農地面積が3%だそうです。食糧問題が深刻化する中、豊かな農村のある自治体と手を結び「共存共栄のサプライチェーン(流通の仕組み)」を作ることで、泉大津市にとっては、安定した価格で定量の農産品を継続購入して市の食糧安全保障と市民の健康増進を目指し、農村のある自治体にとっては農業生産の維持になると同時に、消費地と農家さんの「顔が見える」信頼のある取引が生まれます。「あの子たちには良いものを作ってあげたい」と農家さんが心をこめた農産物が届くところを想像しただけで、日本らしい暖かな気持ちになります。
「農業従事者の高齢化、担い手が定着しにくいこと、資材価格の高騰等が重なり、『あと5年続けられるかどうか』という(中略)全国の農山村が抱える共通課題」は、都市部の消費地にとっても死活問題となります。泉大津市との協定で農家さんが蘇るとなれば、これは日本全体にも大きな可能性となります。
南出市長の「日本の農業を守ることは、日本人の命を守ること。 自然環境により優しい食べ物をいただくことで、日本人の健康を守る。 国家の安全保障と健康な生活の大前提であり基盤です。」というメッセージは、どの自治体にも、そしてすべての国民にも響くものがあると思います。